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食事を終えると、ショーンが後片付けを手伝ってくれる。
ショーンは国では家来の人が何もかもしてくれるから、こういう家事などあまりしたことがないはずだが、嫌がらずに手伝ってくれるのが嬉しい。
「後は何をすればいい?」
「じゃ、この食器をそこのふきんで拭いてくれる?」
「わかった」
弘海の指示通りに、ショーンは皿をひとつひとつ丁寧に拭いてくれる。
料理の腕はさんざんだけど、片付けのほうはなかなか優秀だ。
「あのさ……」
二人で並んで食器を片付けながら、弘海は気になっていたことを聞いてみた。
「俺……ショーンのこと、振り回してるかな?」
「ん?」
「なんかさ……橘さんと三芳さんを見てると……俺たちとちょっと似てるところもあるのかなって思ってさ……」
「ふむ……」
「橘さんってもともとマイペースだし、ちょっと鈍感なところもあって、俺と似てるじゃん? そのせいかもしれないけど、何か橘さんに振り回されてる三芳さんがショーンとかぶるんだよな……」
「そういう目で二人を見たことはなかったな」
「うん……俺も昨日何となくそう思っただけで……本当はぜんぜん違うのかもしれないけど……橘さんも悪気があって三芳さんを振り回してるんじゃないと思うけど、俺もぜんぜん悪気とかなくて……だから……」
「でも、俺は弘海に振り回されることは別に嫌ではないし、きっと三芳さんも同じ気がする」
「そ、そうかな?」
「まあ……三芳さんのほうの本音は解らないが……俺は弘海に振り回されるのは嫌じゃないぞ」
そう言って笑うショーンの言葉に、弘海ははたと目を見開いた。
「ってことは、ショーンはやっぱり振り回されてる自覚があるってことだよね? 俺、ショーンのこと振り回してる!?」
「え? 弘海は振り回してる自覚があるんじゃなかったのか? だからそんな話をしてるんだろう?」
「ま、まあそうなんだけど……やっぱりって思ってさ……」
ショーンにあっさり認められてしまい、少しがっかりした気持ちもあった。
弘海としては、ショーンが自覚するほど酷くは振り回していないつもりだったのだけれど。
首筋がくすぐったいと思ったら、ショーンの顔がすぐそばにあった。
「食器……拭き終わった?」
「ああ、終わった」
耳元で囁くように言われ、顔がカーッと熱くなる。
別に恥ずかしいことを言われたわけでもないのに、弘海は自分で自分の反応が謎だった。
「もっと俺のことを振り回しても構わないぞ。どんなふうに振り回されても、ちゃんと受け止めるから」
「いや……俺……そこまで振り回してると思わないし……振り回すつもりがあってしてるわけじゃないから……」
「ふむ……あれは全部、無意識だったのか……」
「え? む、無意識って……俺……そんなに振り回してる!?」
「そうだな」
あっさりと肯定され、弘海は何だか少しムカムカしてきた。
「なんかさ……俺って本当に酷いやつみたいな言い方だよね……」
「刺激的で退屈しない」
「いやだから……俺としては、すごく頑張ってるつもりだったんだよ。ショーンに嫌な思いをさせたり、迷惑かけないようにって……そりゃ、多少は振り回してるかなって思うことはあっても、そこまで振り回してる自覚はないっていうか……」
自分から言い出した話なのに、弘海はだんだん腹が立ってきた。
ショーンが「そんなことはない。弘海は振り回してない」と言ってくれれば、弘海もこんなに苛立った気分になることはなかっただろう。
(っていうか……普通ならそう言うよね……)
けれども、ショーンは当たり障りのないことを好む日本人とは違うので、何においてもストレートで隠したり繕ったりすることはないのだ。
それは解っているのだけれども。
「何を怒ってるんだ?」
「べ、別に……怒ってないけど……」
「怒ってる」
「怒ってないから」
そっけなく言って、弘海はさっさと食器を片付け始める。
「怒ってる」
ショーンはもう一度同じことを言い、弘海を背後から抱きしめてきた。
「俺の言い方が何か悪かったか? 弘海が気を悪くするようなことを言ってしまったか?」
「だから……何でもないって……」
悪いといえば、ショーンのことを振り回している弘海が悪いわけで、ショーンは何も悪くない。
そうやってショーンに気にされてしまうと、弘海の気持ちはますます行き場がなくなってしまう。
「俺に隠し事をするな」
「隠し事なんて……別に……」
歯切れの悪い言葉で言うと、ショーンは耳元から首筋にかけて唇で撫でるようにしてくる。
「弘海は隠し事をしてる時、俺の目を見ない」
「う……」
「何を隠してるんだ?」
「だから……」
弘海は言い訳をしようとして観念し、ショーンに向き合った。
「あのね……俺……ショーンのこと振り回してる自覚があったつもりだったんだけど、実はあんまりなかったみたい。っていうか、そこまで振り回してないって思ってたのに、ショーンに聞いたらけっこう振り回してるみたいでショックだった……」
自分で何とか今の心境を口に出してみて、我ながら複雑だなと思った。
「だから、ショーンが話せば話すほど、実は俺が振り回してるってことが解って、ショックになる前に何でそんなことずけずけと言うのかなって思ったんだ。八つ当たり……みたいな感じ?」
「ふむ……」
「ショーンは悪くないんだよ。俺が悪いんだ。でも俺、鈍感だからさ……気をつけていてもまた無自覚で振り回したりすることがあると思う……そうしたくないんだけど……」
「解った」
「え?」
「俺がどれだけ幸せなのかを伝えればいいんだな?」
「は?」
「そうすれば、弘海も罪悪感を感じずに済む」
「いや、あの……そういうことじゃなくて……あぁ、日本語の微妙なニュアンスを伝えるのって難しい……」
「そんなに難しいことを考えるな」
ショーンは不敵に笑って、弘海の唇を塞いできた。
「んんっ……!」
ひとしきり弘海の唇を貪ると、ショーンは少し顔を離して弘海の目をじっと見つめてきた。
「俺は弘海を伴侶に出来て幸せだ……本当にそう思ってる……」
ショーンは弘海のTシャツの合間から手を入れ、肌を撫でるように触れてくる。
まだ敏感なところに触れられたわけでもないのに、弘海の体はもうすっかり熱くなり、前は形を変えていた。
「ショーン……まだ……片付けちゃんと終わってない……」
「後で手伝う」
「後でって……何の後だよ!?」
「弘海に俺の愛を伝えた後」
ショーンは何のてらいもなく言ってのけると、弘海を抱えあげ、ベッドに向かった。



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