カテゴリ[Breath <1>]の記事
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- 2011/06/26(12:29)
『『Breath』第一話 懐かしい名前』
家の大きな門扉の前で、藍澤悠樹(あいざわゆうき)は立ち止まる。大きなリビングの灯りはともっている。それを見て、悠樹は軽くため息をついた。この時間に、リビングに灯りがともっているというのは、これまでは珍しいことだった。ここ最近は珍しいことではなくなってしまったのだが……。「おかえりなさい、ぼっちゃん」が玄関の扉を開けると、お手伝いの篠田典子が少し困ったような顔で、それでも笑いながら出迎えてくれた。「た... - 2011/06/26(13:49)
『『Breath』第二話 懐かしい声』
漣との別れは、とても後味の悪いものになった。その夜はお互いにほとんど口も聞かずに別荘に帰り、翌日は悠樹たちよりも早く漣は別荘を後にした。その漣から、唐突に連絡が来たのは、5年前の話だった。連絡とはいっても、メールが届いただけなのだが。漣は20歳で大学を卒業し、今は大学院に通っているという報告と、悠樹の中学入学を祝う言葉を綴ったものだった。悠樹はさんざん悩んだ末に、そのメールには返信をしなかった。だか... - 2011/06/26(15:36)
『『Breath』第三話 懐かしい顔』
翌日、午前中の講義を終えた悠樹が大学を出ると、校門の前に懐かしい顔が立っていた。会うのは10年ぶりだから、本当に見た目もまったく変わっていたけれど、面影はしっかり残っていた。「漣兄さん」見間違えるはずもなかった。悠樹は嬉しくなって、漣のもとへと駆け寄った。「久しぶり」「ああ、久しぶりだな」ダークスーツを身にまとった漣は、すっかり大人だった。当然のことだけど、自分は学生で、漣は社会人なのだということを... - 2011/06/26(17:35)
『『Breath』第四話 懐かしい唇』
「嫌とかそういうのじゃなくて……俺、男だし。漣兄さんも男だし……」「だから?」「だからって言われても……その……俺はそういう趣味はないし……だから……」「だから?」どんどん追い詰められていっているのを感じながらも、悠樹は必死に言葉を捜す。でも、はっきりと言わないといけないと思った。確かに世の中には男同士が恋人になったりする形の愛もあるのだろう。しかし、悠樹にはまったくその気はないのだ。どう考えても、あの夏の日... - 2011/06/26(22:51)
『『Breath』第五話 約束』
悠樹はもう、何が何だかわからなかった。完全にパニくっていたといってもいい。ズボンを引き摺り下ろされ、下着までも脱がされ、むき出しになった下半身を、慣れた手つきでもてあそばれる。「うっ……んんっ……」悠樹の一物をしごく漣の手の動きは、まったくといっていいほど無駄がなかった。確実に、しかも最短で悠樹を高めさせようとしている。「ほら、逝けよ」「あっ、んんっ、んぅッ!」「我慢するなって。出しちまえ」耳元で喘ぐ...