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「おい、大丈夫か?」
 どこにも逃げ場のない陸は、寝台の布団の中に潜り込んだ。そのままいつまで経っても布団から出てこないので、アハシマはその布団の上から体を揺すってきたが、陸は答える気力もなかった。
 抱き合っているだけなら……弟のように思っているからというアマツの言い分も納得できる。けれども、キスをするというのは、しかも唇と唇が重なるキスは恋人や夫婦だけでするものではないのだろうか。それとも、高天原の人たちは兄弟でもするものなのか……。
「おい……寝てるのか?」
「……っ……うるさいっ。頼むから放っておいてくれ」
 あまりにもアハシマがしつこく聞いてくるので、陸は布団の中から抗議した。
「起きてるのか」
「…………」
 陸はもう何も答えなかった。陸が起きていることは分かっただろうし、そのまましばらく放っておいて欲しかった。
 けれどもアハシマは布団を掴むと、陸の体から引き剥がしてしまったのだ。
「ちょっ……!! 何するんだよ!?」
 泣きはらした顔で抗議して、陸は慌てて顔をそらす。泣いている顔を他人に見られるのは嫌だった。特にアハシマには前回も泣いているところを見られてしまっている。
 アハシマは陸に覆いかぶさるようにすると、無理に顔を自分のほうに向けさせる。
「や……めろって……。なんでそんなことするんだよ……!」
 陸は抵抗したが、力ではアハシマに叶わない。細身の体をしているくせに、力はけっこう強かった。
「アマツなどやめておけ」
「お、お前に言われたくないッ!」
「あいつは必ずお前を裏切る」
「だからそんなこと……お前に言われたくないんだってば!」
 実際にその裏切りを自分の目で見たなら、陸も自分なりにそれを受け入れるだろう。さっきのキスを見て今も気持ちは動揺しているが、それでもあれはヒルコが見せた映像に過ぎず、実際にそんなことがあったのかどうかは分からない。
(そうだよ……。あれがデタラメだっていう可能性もあるんだ……。アマツがあんなこと……するはずない……)
「そんなにあいつのことが好きなのか?」
「お前がアマツのことを、あいつとか言うな……」
「アマツより俺を選んだほうがお前は楽になれる」
「俺はアマツを信じてる……。さっきは動揺してしまったけど……。アマツの口から真実を聞くまでは、ずっと信じる……」
 陸は自分に言い聞かせるみたいに言った。口に出して言わないと、自分の気持ちがくじけてしまいそうだというのもあった。
 陸とアマツは出会ってからもまだ短く、トミビコはずっと昔からアマツの傍にいる。不安は大きく、信じ続けることのほうが難しい。それでも、短い間にアマツがくれた真実を、陸は信じたいと思った。
 陸のことを何よりも大切だと言ってくれたあの言葉……。
 陸にとってはあの時のアマツの言葉だけが、唯一の真実で、それに縋るようにして信じるしかなかった。
「人の気持ちなど、移ろいやすいものだ」
 まるで陸の気持ちを見透かしたみたいなアハシマの言葉に、胸がズキンと痛む。
「それでも……アマツの口から気が変わったって聞くまでは信じる……」
 陸はまた自分に言い聞かせるように言った。
「……いい加減にどけよ……重い……」
 陸の体を寝台に押し付け続けるアハシマに抗議するように告げる。
 ふと顔を上げると、アハシマがじっと陸の顔を見つめていた。
「な、何……?」
「お前をアマツから奪ってやろうと考えてる」
「へ、変なこと考えるなよ。俺がお前を好きになることなんて絶対にないからな」
「試してみるか?」
「た、試すって何を?」
「体を繋げてみれば、気持ちも変わるかもしれないぞ」
「じょ、冗談じゃないっ! 妙なことを考えるのはやめろ! 俺は絶対に……」
 言いかけた言葉を陸が飲み込んだのは、アハシマがその手に何かを持っていたからだった。どうやらそれは、先ほどヒルコから受け取ったものらしい。丸い形をしたもので、いったい何なのかはよく分からないが、あやしげな薬のようでもある。
「や、やめろって……」
 陸は本気で抗うようにアハシマの体を押しのけようとした。しかしアハシマは、さらに強い力で陸を寝台に押し付けてくる。
「どけって……。いい加減にしろ……っ……!」
「おとなしくしてろ」
 陸は泣きはらした赤い目でアハシマを見据える。
「やめろって……。そういうことをしても、俺の気持ちは絶対に変わらない……」
「それが本当かどうかを試してやる」
「何するつもりなんだよ?」
「せっかくヒルコがくれたものだからな。これを使ってみよう」
「な、何だよそれ……」
「この間の香のようなものだ。形状は違うがな」
「や、やめろ……。頼むから……やめてくれ……」
 この間の香のようなものと言われ、陸の脳裏にあの時の恐ろしいほどの苦痛が蘇った。あの時は陸の限界が来る前にアハシマが手で処理してくれたから助かったものの……。今度はアハシマもそんな助け舟のようなものは出すことはないだろう。
 アハシマは陸の腕を掴むと、あっという間にそれを頭の上で束ねて縛り上げてしまった。
 こうなってしまうと、陸の動きは大幅に制限される。抵抗したところで時間の問題なのだろう。しかも、あの時の香みたいなものを使われてしまえば……。
「い、言っておくけど……お前が俺に何をしようと……何をされようと……絶対に心変わりなんてしないからな……!」
「わざわざ言うということは、自信がないということか……」
「ち、違うっ!! 自信があるから言ってるんだ!!」
「では、それを試してみるまでだな」
 アハシマはそう言って笑い、陸の下半身の衣服を脱がせてしまうと、両足を持ち上げるようにした。
「……っ……!!」
 アハシマの指が陸の入口の辺りに触れてくる。そこに触れられるのは久しぶりのことだった。高天原でアマツに抱かれて以来のことだろう。
 前回の時には感じなかった恐怖を、陸は感じていた。
 アハシマは手にしたあの丸い玉のようなものを、陸の入口からねじ込むようにして挿入していく。




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EDIT [2012/10/31 08:10] 高天原で恋に落ちた Comment:0
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