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悠樹が目を覚ますと、いつの間にかまたベッドの上だった。
断片的に昨夜の記憶はあるものの、いったいいつベッドに運ばれたのかは覚えていない。
どうやら知らない間に体も洗ってくれていたみたいで、昨夜は着ていなかったパジャマを身に着けていた。
漣のベッドルームは実にシンプルで、ベッドとサイドテーブルとクローゼット以外には何もなかった。
本当に寝るためだけの部屋なのだろう。
ベッドは漣の背が高いからなのだろうが、キングサイズとも思えるほどの大きさで、広い部屋の中でも圧倒的な存在感を誇っていた。
このベッドルームも外側の壁はガラス張りになっていて、夜になればやはり夜景が望めるのだろう。
今はすっかり日も昇って、青空と少しの雲が見えるばかりだったけれども。
ベッドから起き上がると、体は驚くほどに気だるかった。
サイドテーブルに水差しが置いてあったので、グラスに水を注いで一気に飲み干した。
水で喉を潤すと、少しホッとした気分になる。いったいどれだけの酷使をしたのかと思うほど、喉が痛かった。
昨夜も執拗に何度も何度も逝かされたのは覚えている。いったい自分の体はどうなってしまったのかと思うほどに、ひたすら快楽を貪っていた。
熱が冷めてきそうになっても、漣が巧みに性感を刺激してくるので、また昂ぶってしまう。それを繰り返しているうちに前後不覚のような状態になり、最後はたぶん意識を失ったか眠ってしまったのだと思う。
その付近の記憶はもうほとんどなくて、自分が何をしたのか何を言ったのか何も覚えてはいなかった。
ただ、自分でも知らなかったような淫らな自分がそこにいたということだけは確信できる。
「起きてたのか?」
「あ……」
いつの間に部屋に入ってきたのだろう。悠樹も気づかないうちに漣が部屋の入り口に立っていた。
洒落たルームウェアをさらりと着こなした漣は、昨夜の疲れなんてまるで感じさせない清々しい表情で、悠樹のことを見つめている。
「今日は大学は?」
「ん……今日は休み」
「じゃ、今日はゆっくりしていけよ」
「でも、休みの間に遅れた分を勉強しておかないと」
「勉強ぐらい俺が教えてやるよ」
「でも……自分で勉強したいから」
本当はこの部屋から早く出て行きたかったからなのだが。まさかそんな本当のことを正直に言うわけにもいかない。
「漣兄さん、仕事は?」
「今日は休もうかなと思ってる」
「そっか……」
漣が休みだというのなら、なおさら早く帰らなくてはと思った。
また昨夜の続きなんてことになったら、とても体が持ちそうにない。
「じゃ、俺着替えて帰る」
「そんなに早く帰りたいのか?」
「べ、別にそういうわけじゃないけど……うちの大学、けっこう厳しいんだ。レポートもたまってるし……」
「だから手伝ってやるって」
「だから自分でやりたいんだってば」
少し苛立ったような声で言うと、漣は意味ありげな笑みを浮かべる。
「もっと融通のきく大学に行くか?それなら問題はないだろ?」
「な……」
「俺がその気になったら、そうさせる」
要するに、今日は自分に付き合えと漣は言っているのだろう。
そうでなければ大学をやめさせると。
「わかった。帰らなきゃいいんだろ……」
諦めて悠樹がため息をつくと、漣は満足そうに微笑んだ。
「最初から素直にしてればいいんだよ」
「大学のことまで指図されるなんて思わなかったよ……」
皮肉を込めてそう言うと、漣は不適な笑みを浮かべる。
「別に俺はどちらでもかまわないんだがな」
そりゃあそうだろう、と心の中だけで悠樹は毒づいた。
悠樹が帰ることを選べば大学をやめさせることが出来るし、残ればそれは漣の望みどおりだ。
どちらに転んでも、漣の思い通りということだった。



漣は悠樹をマンションから連れ出すと、車に乗せ、どこかへ向かう。
どこへ向かうのかは聞かなかったが、漣には何か目的があるようだった。
漣が車を止めたのは、銀座のとある地下駐車場だった。
アメリカと日本とは道路事情も違うはずなのに、漣の運転は終始スムーズで安心感があった。
ほとんど振動のない車の中は心地が良くて、思わず眠ってしまいそうになるぐらいだった。
悠樹もいちおうは免許を持っているものの、完全な初心者ドライバーで、一度父親のベンツを貸してもらって近くをドライブしたら、縦列駐車に失敗してベンツの側面にみごとな擦り傷を作ってしまった。
それ以来、父親は車を貸してくれないし、車を買ってやろうという話も出たことがない。
車を降りて歩き出した漣に向かって、悠樹は聞いてみる。
「漣兄さん、あとでちょっと運転させて。どこか広くて安全なところでいいから」
悠樹の言葉に漣は振り返り、肩をすくませた。
「駄目」
「ええええ、何で!?」
「叔父さんから聞いた。ベンツを傷モノにしたんだろ?」
「何で知ってるんだよ……」
「最近よく会うからな。お前の話は聞かなくてもいろいろしてくれる」
「もう……」
すっかりむくれてしまった悠樹を見て、漣は苦笑する。
「練習するならもっと安くて頑丈な車を買ってやろうか?」
「いい……」
「さすがにこれは限定モデルだし……修理も大変なんだ……」
「ひどいな、俺が運転したら絶対に何かすると思ってるんだろ?」
「お前さ、車の運転向いてないんだよな。周りをよく見てるようで、けっこう見てないだろ。そういうやつって、車の運転すると危ないんだ」
勝手な持論を展開して、漣は何が何でも愛車を悠樹に運転させるのを避けようとしているようだった。
「ほら、また見てない」
力強い腕にぐいっと体を引き寄せられ、悠樹はドキッとする。
背後を見ると、車が横を通り過ぎるところだった。
「すごいな、漣兄さん。後ろにも目がついてるのか」
悠樹の言葉に、漣はあからさまなため息をつく。
「だからお前は危なっかしいんだ。車は助手席に乗るだけで我慢してろ」
ふくれっ面をしながらも、悠樹は何となく納得した。
確かに漣は自分よりは周りをちゃんと見ている。悠樹は漣よりは周りを見てない。
だからといって、車を運転させてくれない理由になるのだろうかという不満はあったけれど。



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EDIT [2011/06/29 14:48] Breath <1> Comment:2
楽しく読ませて頂いてます
(´ψψ`)
続きが待ち遠しいです、ベンツの件は『ああ…』と思いましたが

突然失礼しました・
頑張ってください!
[2011/06/29 15:53] EDIT
>つー坊さん

コメントありがとうございます!
楽しんでいただけて、とても嬉しいです♪
更新できるときには頑張って更新しますので、また読みに来てくださいね^^
ベンツはもう……かわいそうですね(お父さんが)
[2011/06/29 18:24] EDIT
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