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「……っあ……!」
 アハシマの指先が肌に触れた瞬間、陸は大きく体を跳ねさせた。
「だ、だから……触るなって……っ……」
 ほんの少し触れられただけなのに、その部分がじんじんと痺れるようだ。まともに触られたりなんかしたら、体がどうなってしまうか分からない。
「そのままでは持たないだろう。楽にしてやるからおとなしくしていろ」
「や、やめろ……触るな……っ……俺のことは放っておけって……っ……!」
 陸は必死に拒絶しようとしたが、両手の自由を奪われていては拒み続けることも出来ない。アハシマは陸の体を背後から抱くと、その手を両足の合間にある一物へと滑らせてきた。
「……ッ……!!!」
 そこに触れられた瞬間、陸はたまらずに欲望を放っていた。何も考える暇もなかった。アハシマにそれを握られただけで達してしまったのだ。
「早いな……」
「う、うるさ……ん……く……はぁ、はぁ……っ……手……離せよ……」
 達した瞬間は萎縮したはずの陸の昂ぶりだったが……。
(う、嘘だろ……?)
 アハシマの手の中でもう硬さを取り戻している。
「この状態ではまだ苦しいはずだ。我慢せずにもっと出せ」
「い、嫌だ……だ、誰がお前なんかに……っ……」
 陸はそう言い放ったが、実際にはアハシマの言う通りだった。先ほど達したばかりだというのに、もう体が苦痛を訴えている。アハシマがゆっくりと手を動かし、陸の昂ぶりをしごき始めると、その苦痛が見る見るうちに快楽に変わっていくのが分かった。
「や、やめ……っ……んんっ……た、頼むから……っ……やめてっ……んあっ、んんっ……!」
 そのまま達してしまいたい気持ちと、アマツ以外の者と性的な行為をすることに対する背徳感に、陸は引き裂かれそうな気持ちになる。
 もうすでに一度は達してしまったのだから、正確にいえば、陸はアマツ以外の者と性的な行為をしてしまったことになる。
 だからこそ、これ以上は何としても拒絶したかった。
 けれども、アハシマは陸を導くために手を動かし続けている。
「泣いているのか……?」
 少し驚いたような声が聞こえて、陸も自分の目から涙が溢れてることに気づいた。
「み、見るな……っ……」
 陸は顔をそらした。確かに苦しくて辛くて仕方がないけれど、この男に涙を見られるのは陸の矜持が許さない。
「見ないから……今は楽になることだけを考えろ」
 アハシマはそう言うと、もう無理に陸の顔を見ようとはしなかった。その代わりに昂ぶりを握った手は動かし続けている。
(俺に……気を使ってくれたのかな……? いやいや、こんなやつに気を許したら駄目だ……)
 ほんの少し、アハシマに対する警戒心がゆるみそうになって、陸は慌てて気を引き締める。けれども、体のほうはアハシマの愛撫によって、どんどん力が抜けていってしまう。
「……っぁ……んっ、はぁっ、はぁっ……っく……ぅ……っ……」
 酷いことをされているという意識はなかった。拒まなければと思う気持ちはあるけれど、アハシマに対する嫌悪は感じていない。
(アマツ以外の男に触られてるのに……)
 香の効き目が強烈過ぎて、今は理性よりも快楽を貪ることを体が欲求しているのかもしれないが。
 それにしても、あまりにも自分が軽薄すぎる気がして、陸は自分で自分に嫌気がさしてしまいそうだった。
 それでも与えられる快楽に逆らうことができない。
(ご、ごめん……アマツ……俺もう……)
 陸は限界を感じて心の中でアマツに詫びた。陸の気持ちに裏切りはなかったけれども、こんなふうに他の男に触られて達してしまうのは立派な裏切りのような気がした。
 けれども、もう限界だった。
「……っあん……も、も……出る……っ……!!」
 陸は再びアハシマの手の中に白濁の雫を飛び散らせた。



(もう嫌だ……消えてしまいたい……)
 ようやく両手の拘束も解かれ、陸は寝台に横たわったまま自己嫌悪に陥っていた。
 結局、あのあとアハシマは陸の体が落ち着くまで愛撫を続け、いったい何度イッたか覚えていないほどにイかされた。
 体を繋げたわけではなかったけれど、欲望に振り回され続けた自分が、まるで獣か何かになってしまったみたいで情けなく、そして悲しかった。
 しかし冷静に考えてみると、あの香の影響で陸はアハシマに導いてもらえなければ体のどこかがおかしくなっていたかもしれない。
(もしもあの時……アハシマがしてくれなかったら、どうなってたんだろう……?)
 陸は体的にも精神的にも限界だった。ひょっとすると、どちらかが壊れていた可能性だってあるのだ。
(い、いやいや……それでも、あいつに感謝なんてしちゃ駄目だ……! あいつだって欲望の赴くままに俺に触ってたんだろうし……)
 思わずアハシマが助け舟を出してくれたかのように考えてしまい、陸はぶんぶんと首を横に振る。
(あいつはアマツを陥れようとしてるんだし、俺をこんなところに閉じ込めているんだし……絶対に少しでも気を許しちゃダメだ……)
 いったい何を目論んでいるのか、今はあの妙な香は焚かれていない。けれども陸は捕らわれたままで、部屋の外にすら出してもらえない状況は続いている。
 アハシマは日に何度か様子を見に来るが、ヒルコは一日に一度程度、アハシマと一緒に部屋に入って来る程度だった。
 その雰囲気から察するに、ヒルコは陸をもっと苦しめたいと考えているが、アハシマがそれを留めているようだ。
 けれども、いつまでこの状態が続くのかは分からない。またあの香を焚かれてしまえば、陸は再びあの恐ろしいほどの苦痛を味わうことになるのだ。
「……ッ……」
 あの香によって苦しめられた時間のことは、記憶が曖昧になっている部分もあるほどに陸にとっては危機的な状況だった。自分がどうなってしまうのか、恐ろしくて仕方がなかったのだ。
 ようやくアハシマの手によってその衝動が抑えられた時には、自己嫌悪も激しく感じたが、同時にとても安堵したのを覚えている。
 激しく否定したい気持ちはあるけれど、それは紛れもない事実で……。
 陸は心の中が不安でいっぱいだった。アマツにと再会した時に自分が彼に相応しい人間のままでいられるかどうか……。
(早く帰りたい……アマツに会いたい……)
 陸は心からそう思った。




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EDIT [2012/10/28 07:59] 高天原で恋に落ちた Comment:0
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