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- 29日(07:01)『『Breath』<2> 第二十二話 弟』
甘ったるいような匂いがしていた。独特のエキゾチックな香りだ。その香りに悠樹は覚えがあった。思い出せない記憶が脳裏をかすめるとき、その香りが生々しく蘇るのだ。普段はどんな香りが思い出せないのに、こうして記憶の扉が開きそうになるときだけ、鮮明に思い出す不思議な香り。すぐそばに人の気配を感じるけれど、頭がぼんやりとして、体を動かすことが出来なかった。それでも何とか体を動かそうとして、両手が後ろ手に縛られ...