カテゴリ[Breath <1>]の記事
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- 2011/06/27(09:17)
『『Breath』第六話 義務』
翌日、目を覚ますともう漣の姿はなかった。ベッド脇のサイドテーブルの上に、部屋の鍵が置いてある。どうやらこれは悠樹のための合鍵のようだった。ベッドから起き上がろうとして、体がふわふわしているのに気づく。どうやら熱を出してしまったみたいだった。もともとそれほど丈夫な体ではないのに加え、昨日の行為が体に負担をかけてしまったのだろう。このままこのベッドで眠ってしまいたい気もしたが、夜になれば漣が戻ってくる... - 2011/06/28(07:45)
『『Breath』第七話 友達』
「まだ熱下がらないなぁ……」熱は二日目になってもまだ下がらなかった。上がる気配はないものの、微熱より少し高い熱が続いている。結局、今日も大学の講義を休んでしまったのだが、朝からおとなしく寝ていたというのに、まだ完治しそうにない。体温計をサイドテーブルに置いてため息をついたとき、部屋の扉をノックする音がした。「はい?」扉の向こうに向かって声をかけると、お手伝いの篠原の声が返ってきた。「坊っちゃん、真咲... - 2011/06/28(16:04)
『『Breath』第八話 接吻』
キスは執拗に続いていた。熱のある悠樹の体は、まるで夢の世界にでもいるかのようなふわふわとした状態だった。漣はたまに唇を離したかと思うと、唇の周りの唾液をなめ取ったり、頬や首筋に舌を這わせたりしてくる。そしてまた、思い出したかのように、悠樹の唇に貪りついてくるのだった。漣の手が、悠樹の両足の合間をまさぐり始めたとき、悠樹は明日も大学にはいけないな、と覚悟を決めた。パジャマの上から何度もなぞるように一... - 2011/06/28(19:19)
『『Breath』第九話 心と体』
「うん、下がったな」体温計を見て、悠樹はホッと息を吐く。2日間続いた熱はようやく下がり、今日は無事に大学へ行くことが出来そうだった。体温計を置いて、代わりにカギをひとつ手に取った。漣のマンションの合鍵だ。熱が下がったということは、大学へ行ける代わりに漣のところへ行かなくてはいけないということだった。どの道、昨日父親が話していた件の確認もあるので、早めに会っておきたい気持ちはあった。「今日は帰れそう... - 2011/06/28(23:21)
『『Breath』第十話 夜景』
気がつくと、外はすっかり暗くなっていた。リビングのガラス張りの向こうには夜景が見えるはずだったが、そんなものを見るような気分でもなかった。悠樹もほとんど口を開かなかったが、漣もむっつりと押し黙ったままだった。彼がいったい何を考えているのか、悠樹は解っているつもりだったけれど、実はまったく解っていないことにようやく気づいた。だからよりいっそう、何を話したらいいのか解らない。やがて漣のほうが先に動いた...