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文礼は弟が通う初級中学の前で、彼が出てくるのを待っていた。
禁忌を犯して会いに来てしまった自分を、弟はどう受け入れてくれるのだろうか……。
とても優しい弟だった。
きっと文礼のことを気遣ってくれるに違いない。
漠然とそんな期待を抱いていた。
こちらから声をかけることはできない。
けれども、弟は必ず自分に気づいてくれると信じていたのだ。
戸籍を与えられなかった弟を大切にし、戸籍の分を愛情で埋めるようにして弟の面倒を見てきた。
弟も自分にとても懐いていたし、慕ってくれていたと思う。
きっと自分が突然家からいなくなったことを寂しく思っていたに違いない。
文礼の中の弟は、別れた幼い時のままで、記憶の中ではいつも愛くるしい笑顔を振りまいていた。
やがて成長した弟が歩いてくるのが見えた。その面影はまったく変わっていなかった。
きちんとした服を着せてもらい、すっかり都会の子になっている。
それでもやはり、弟だと確信できるほどの面影は残っていた。
弟は友達と楽しく喋ったりふざけあったりしながら、少しずつ文礼に近づいてくる。
文礼は胸が高鳴るのを覚えた。
しかし……。
「…………」
弟は文礼の隣を通り過ぎていった。
通り過ぎる瞬間、ちらりと文礼のほうに視線を向けたが、それだけだった。
見知らぬ人を見るような目を一瞬よこしただけだった。
文礼は一日たりとも弟のことを忘れたことがなかったが、弟は歳月の中に文礼の記憶を置き去りにしてしまっていたのだ。
衝撃はゆっくりとやって来た。
振り返るともう弟の姿は見えなかった。
彼は本当に文礼のことに気づかず、去っていったのだ。
弟のために身も心も削り取られ続けるような日々を送り続けてきたというのに、彼は自分の犠牲の上に幸せな日々を送り続けることが出来るというのに。
それ以後、文礼は弟には会っていない。
会ったところで自分のことを覚えていないのだから、会うことに意味があるとは感じられなかった。
悠樹を初めて見たとき、汪が言うように、確かに弟に似ていると思った。
邪気のない笑顔も、その素直すぎるほどの性格も。
そして、自分を傷つけておきながら、まったく悪びれる様子がないところも。
彼が漣の想い人であり、自分がその身代わりにされ続けてきたということも、何か因縁めいたものを感じた。
悠樹を連れ去ったとき、本当は漣を驚かせ、心配させるだけで心配させてから返そうと考えていた。
自分の存在を漣に植えつけるだけでいい。そうでなくとも、漣のせいで悠樹の父の会社は危機に陥った。そのことで漣が罪悪感を感じ続ければいい。
それだけでも、復讐としては十分なはずだった。
けれども、悠樹を陵辱するまでにいたったのは、弟への復讐だったのかもしれない。
弟への憎しみや、憎みきれずにあふれ出してくる愛情などが入り混じって、すべての感情を悠樹にぶつけた。
悠樹を貫きながら、10年分の寂しさや苦しみがすべて溶け出していくような感覚を味わっていた。
ことが終わってぐったりとした悠樹を見て、弟と重ね合わせて心が痛んだりもした。
文礼にとって弟は、たとえ自分の存在を忘れ去られていようとも、やはり未だに最愛の存在であることに間違いはなかったのだ。
二度と会うことはないだろう……そう思って悠樹を漣の手元に返したつもりだったのだが。
事態は思わぬ波紋を広げて、こんな場所で再会することになってしまった。
悠樹は薬の効き目もあって、意識はぼんやりとしているようだ。けれども、これから起こることははっきりと記憶に残るだろう。その程度の意識はあるようだった。
「弟に手を出すのは勘弁してやろう。だが、その代わりにこいつを使って楽しませろ」
汪はそう言って文礼にグロテスクな形をした張型と、いかにも毒々しい色をした蝋燭を手渡した。
悠樹に対してこれを使えと命じているのだった。



男と文礼はしばらくの間、何か中国語のような言葉で会話を続けていた。
言葉が解れば、不安も少し和らいだかもしれないのに。
その言葉は欠片すら理解することができなかった。
やがて、文礼が近づいてくる気配がした。
振り返ると、文礼は何か怪しげな大きな蝋燭と奇妙な形をしたものを手にしていた。
その表情は先ほど優しく声をかけてくれたときとは違い、何を考えているのか解らないような表情だった。
そんな文礼と自分を凝視しながら、背後の小太りの男はワイングラスにワインを注ぎ始めた。
その様子が何だかとても奇怪で、悠樹は恐ろしくなった。
帰りたい……そう思うけれども、拘束された体はベッドの上から降りることすら出来なかった。
文礼は無言のままに悠樹の服をつかむと、乱暴にそれを剥ぎ取っていく。
腕が後ろ手に拘束されているから、すべてを脱がされることはなかったけれども、上半身はほとんどむき出しになってしまう。
「い、いや……ッ……やめ……ッ……」
そう訴えるが、文礼は顔色ひとつ変えずに、まるで何かの作業を続けるみたいにして、今度は悠樹の下半身に手をかけた。
ズボンを一気に引き摺り下ろされ、信じられないような気持ちで文礼を見た。
「な……何……するつもり……?」
やはり文礼は何も答えない。肩を使って何とかベッドの上まで這い上がろうとするのを、馬乗りになって押さえつけられた。
「嫌だ……やめて……」
弱々しく訴える悠樹の言葉は、文礼にはまるで届いていないかのようだった。
背後を恐る恐る見ると、大きな蝋燭に文礼が火をともした。蝋燭など、いったい何に使うのだろう……そう考えていた矢先、体に鋭い刺激が走った。
「あ……ッ……熱……ッ……!!」
文礼がその蝋燭の蝋を自分の体に滴らせてきたのだと理解するまでに少し時間がかかった。
また一滴、蝋が滴り落ちるのが見えた。
「や……ッ……熱い……ッ……やめて……ッ……!!」
蝋が落とされるたびに、悠樹の体はビクンビクンと跳ね上がる。
あまりの熱さに、体が無意識のうちに反応してしまうのだ。
背後から笑い声が聞こえた。ワインを飲みながら悠樹の体がはねるのを見て、男が喜んでいるようだった。
他人にほどんど裸同然の体を晒していることだけでも、涙が出そうなほどの羞恥を感じているというのに。
自分でも制御不可能な体の反応を見られ、それを嘲笑されるというのは、涙が出そうなほどの屈辱だった。
「文礼……お願い……も……や……あぁッ……!!」
また蝋が何滴か、悠樹の体に滴った。
この蝋がもたらす熱さは痛みにも似ていて、何度落とされても慣れるということがなかった。
落とされるたびに、情けないほど体をはねさせてしまい、短い悲鳴を上げ続ける。
次第に悠樹の吐息はその苦痛で荒くなっていく。
「……ぁ……んんっ……熱……ッ……ぁ……ッ……!」
男が背後で何か指示を出しているようだった。うつ伏せにされていた悠樹の体が、文礼の手によって、無理やりに仰向かされる。
「……んんっ……」
後ろ手に拘束された手が体の下敷きになって、悠樹は思わず呻いた。
文礼の手が悠樹の下着に伸びてきた。まさか……と思う間もなく、悠樹の下着までもが剥ぎ取られてしまう。
恐怖ですっかり萎縮した悠樹のモノがさらけ出された。
文礼がそれに手を触れた瞬間、まるで電流が走ったような感覚を味わう。
「……ぁあッ……!!」
文礼はすっかり萎えきった悠樹の一物を、根気よくしごき続ける。
敏感な部分を刺激され、全体を優しく撫で回されているうちに……。
こんな恐怖しかない状態のはずなのに、悠樹の一物が硬さを取り戻し始めていた。



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EDIT [2011/07/30 06:56] Breath <2> Comment:2
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2011/07/30 19:28] EDIT
>シークレットAさん

いつもコメントありがとうございます!

私も変質者すれすれの人、大好きです(笑)
漣の場合は過去のことやら、悠樹の気持ちを大切にしすぎるところもあって、変質者としてはちょっと中途半端かなと思うところも(笑)
たまにものすごく扱いに困る子です(汗)

汪さんはしたたかという感じがしますね。
頭はすごく悪そうなんだけど(笑)
確かに商売上手ではありそうですけども。

さらにピンチな様相になってしばらく暗い展開が続きそうですが、またぜひ読みに来ていただけると嬉しいです!
[2011/07/31 07:44] EDIT
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