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「嫌とかそういうのじゃなくて……俺、男だし。漣兄さんも男だし……」
「だから?」
「だからって言われても……その……俺はそういう趣味はないし……だから……」
「だから?」
どんどん追い詰められていっているのを感じながらも、悠樹は必死に言葉を捜す。
でも、はっきりと言わないといけないと思った。確かに世の中には男同士が恋人になったりする形の愛もあるのだろう。
しかし、悠樹にはまったくその気はないのだ。どう考えても、あの夏の日のようにキスをしたり、それ以上のことを漣としたいとは思えなかった。
10年前のあの日だって、はっきりと断っていればこんなに後を引くことはなかったのだ。
「漣兄さん……俺……本当に男の人には興味ないんだ。だからもう、やめて欲しい」
きっぱりと言い切った悠樹の目を、漣はまだじっと見つめている。
いったい何を考えているのか、その瞳から読み取ることは難しかった。
「からかっているのなら、もういい加減にして欲しい」
悠樹はそう言って、ソファから立ち上がろうとした。しかしその体は逆にソファに強く押し付けられる結果になった。
「れ、漣兄さん……ッ!!」
「からかってると思ってるのか?」
「だって……男同士でこんなこと……ッ!」
「何故いけない?男同士だって愛し合うことができるんだぜ?」
「でも、俺にはそういう性癖はないんだ!」
「じゃあ、教えてやろうか?」
まるで挑むように悠樹の目を覗き込み、漣はニヤリと笑った。
「い、いらない……帰る、もう帰る!!」
そう言って起き上がろうとしても、漣の強い力に組み敷かれて、体を浮かすことすら出来ない。
「馬鹿。ろくなモン食ってないから、俺を振りほどくことも出来ないんだ」
「く……もうやめて……漣兄さん……こんなの間違ってる……」
「間違ってなんかない。俺はずっと……お前のことが好きだった……!」
あぁ……とうとう言わせてしまった……悠樹はそう思った。
まともに告白されてしまっては、悠樹の逃げ場はなくなってしまう。
「取引しようぜ。融資……欲しいんだろ?」
「な……なんでそこで融資が出て来るんだよ!」
「お前が俺の恋人になるんなら、融資してやってもいい」
「そ、そんな……卑怯者!」
「卑怯なのはどっちだ?俺の気持ちを知ってたくせに、お前は何の対価もなしに利用しようとしてたんだろ?」
「お、俺はそんなつもりは……」
漣の手が、悠樹の体を這いずり回っていた。その唇は、悠樹の頬から首筋へと移動しながら、熱い唾液を滴らせてくる。
意思とは無関係に体が火照ってくるのが解った。
「どうする?」
「どうするって……そんなの決まって……」
「お前が断れば、融資はしない。するメリットもないからな。俺も二度とお前とは会わない。どうだ?」
「どうだって……言われても……」
漣が融資を断れば、会社は間違いなく倒産してしまう。
逆にここで融資を受けることが出来れば、父も二度と同じ過ちはしないだろう。
会社は元通りの復興を果たすに違いない。
自分に出来ること……それは……。
けれどもやはり、悠樹は首を振る。
こんなことと融資が取引されることがおかしい。
「俺が恋人になったら融資するとか、ならなかったらしないとか、そんなの可笑しすぎる!」
「何故だ?最初から取引だって言ってるだろう?藍澤興産の業績は悪くなかったが、例の不祥事が命取りだったな。藍澤興産に融資するにはこっちもそれ相応のリスクを覚悟しないといけない。それなのに、何のメリットもなしに俺に融資だけしろって言うのか?リスクだけ背負えと?」
「それは……」
「簡単なことだろ?お前が俺の恋人になれば、すべてが丸く収まるんだ。どうする?」
今度こそ返答を言わせようとするかのように、漣が悠樹を見据えてくる。
悠樹はイエスかノーの返事をする以外になかった。
「さあ……どうする?」
もう漣は口を開かなかった。完全に悠樹の返事を待つ体勢だ。
悠樹は途方に暮れていた。どう返事をしても、自分と自分に関わるものが大きく変化することは避けられない。
けれども……。
何十億ともいわれる負債を救えるのは、もはやこの男しかいなかった。
たとえ悠樹にその気がなくとも、たとえ男を愛することが出来なくても、家族のことや、父の会社の従業員のことを考えると、答えは最初からひとつしかなかったのだ。
「こ、恋人に……なる……」
恋人という甘い響きには似つかわしくない表情を、悠樹はしていたと思う。
頭の中の整理なんて何も出来ていない。
自分を組み敷いたこの男が恋人になるという現実も、まったく実感がわかなかった。
「それでいいんだな?」
念を押すように漣が聞いてきたので、悠樹は力なく頷いた。
「んっ……!」
漣の唇が乱暴に悠樹の唇に押し付けられる。
あの夏の日と同じように、漣の唇が何度も何度も重ねられた。
抵抗は出来なかった。
恋人とはいっても、本当の恋人ではない。
本当の恋人というのは、互いが望んで愛し合ってそういう関係になるものだ。
しかし、悠樹には選択肢がないし、自由もなかった。
想いは漣のものだけで、悠樹にはまるで兄のような従兄弟という存在以上ではないし、なりえなかった。
すべては漣が望むように振る舞い、望むように寄り添う。そういう漣のための恋人を悠樹はこれから演じなければならないのだ。
「んっ……ふ……んんっ!」
息をすることさえ許さないとでもいうかのように、漣は執拗に悠樹の唇を塞ぎ続けた。
その間にも漣の手は、悠樹の体のきわどい部分をまさぐり始めている。
「や……やめ……っ!!」
その手が両足の合間を漂い始めたとき、悠樹は思わず身をよじった。
「俺の恋人になるんだろ?」
「な、なる……けど……」
「だったら、お前の体はすべて俺のものだ」
冷ややかな目でそう言って、漣は容赦なく悠樹の股間にも手を伸ばしてきた。
「あっ……いっ……んんっ!」
「そんなに触って欲しかったのか?もうこんなに大きくなって……」
まるでいとおしいものでも撫でるように、漣はズボンの上から悠樹の一物をまさぐってくる。
その手の動きに、悠樹は情けないほど反応した。
悠樹は自慰さえも、これまでまともにしたことがなかったのだ。
一度だけ、友達から見せられた女の人の裸が載った写真を思い出しながらしてみたけど、それきりだった。
性に関して、もともと淡白だったのだろう。
だからこんなに気が狂いそうなほどの快楽を一気に与えられるのは、生まれて初めてのことだった。
「びくびくしてるぞ。気持ちいいのか?」
まるで悠樹の反応を楽しむように、漣がささやいてくる。
「そ、そんなこと……ッ! やっ、ぁぁっ!!」
「直接、触らせろよ」
そう言うなり、漣は悠樹のズボンを引き摺り下ろした。



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EDIT [2011/06/26 17:35] Breath <1> Comment:0
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