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蝋燭の灯りが、苦しげに喘ぐその顔を映し出す。
横浜にある汪家の邸宅には、地下室がある。
その地下室は決まりごとを守らない使用人を罰するための部屋だったと伝えられている。
しかし、今ここに繋がれているのは、使用人などではなかった。
汪は自分の所有物である彼……文礼の体を、じっくりと撫で回していく。
黒い布で目隠しをされた彼の顔は、その美しい容姿のほとんどが覆われてしまっている。
両手は冷たい鎖で拘束され、天井から吊り下げられている。
両足は拘束はされていないものの、地面には届かないところで両手の鎖が固定されていた。
「今日は少し趣向を変えてみよう」
汪はそう言って、目隠しをしたままの彼の唇を吸い上げる。
僅かに嫌悪に顔をゆがめた文礼は、それを気づかれぬように吐息を喘がせた。
いったい何時間が経ったのだろう。
文礼は時間を気にしてしまうほどに、疲労していた。
そのときを待っていたかのように、汪は新たに何かを仕掛けてこようとしていた。
「M&Bカンパニーという会社を知っているか?」
文礼にはそれがすぐに漣が経営する会社だということがわかった。
しかし、とりあえず首を横に振る。
「おや……お前はよく知っているはずではないのか?」
愉しげな声で汪はそう聞いてくるが、文礼はその誘導には乗らなかった。
「ここの社長とお前の過去の関係は調べがついている」
「……会社名まで知らない」
「なるほどな……だが、今もう会社名を知っただろう?」
「今は彼とは何の関係もない。もう清算した」
「私の目を見て言え」
汪は乱暴に文礼の顔を覆う黒い布を剥ぎ取った。
汗にぬれた顔を、文礼は汪に向ける。
「今は彼とは何の関係もない。彼との関係は清算した」
文礼はもう一度同じことを言った。
「清算か……確かに制裁は加えたようだが。しかも私の名を使ってな」
「…………」
「なぜ、関係が終わって一年も経ってから清算を?」
「そうしなければ気がすまなかったからだ」
「ふむ……」
汪は文礼が目を離すことを許さないかのように、じっとその目を見据えている。
「清算が済んでいるのなら、私がどうしようと構わないというわけだな?」
「なぜそんなことをする必要が?」
「私が気に食わんからだ。清算が済んでいるのなら、文句はあるまい」
「勝手にすればいい。もう関係ない」
文礼は突き放すように言い放った。
「まあ……相手の男は最近ボディガードを増やしたらしいがな……」
愉しげにそんなことを言いながら、汪は乱暴に天井から釣り下がる鎖を解く。
文礼の体が床に叩きつけられた。
「う……ッ……」
体に走った鋭い痛みに、文礼は思わず呻いた。
体勢を整える暇も与えられず、腰を強く引かれた。
すぐに汪の一物が乱暴にねじ込まれる。
「……ぅ……ッ……く……ッ……」
ろくな準備もなしに異物をねじ込まれ、文礼の体は悲鳴を上げた。
しかし、鎖に束ねられたままの両手では、体を上手く固定することが出来なかった。
揺さぶられるままに体が揺れ、無理やりに追い込まれていく。
「あっ……ん……く……ッ……」
「どうだ?昔の男に会いたいか?」
「もう関係……な……ッ……んんッ……」
「ああ……最近会ったばかりだったな……もう会いたくないか……」
「あんたが会わせてくれるんだったら……会ってもいい……」
汪の動きが次第にせわしなくなってくる。
終わりが近づいているのだろう。
文礼にかつての男を思い出させながら、興奮が高まってきたのかもしれない。
「あッ……ん……ッ……ぁッ……」
「会いたいと言っているものを会わせるのも……面白くはないな……」
興を削がれたように言いつつも、その声音は興奮が高まっているようだった。
律動がさらに速くなっていく。
それに合わせるようにして、文礼の吐息も甘く弾んだ。
「あ……ぁッ……ぁ……ん……ッ……」
「お前は本当に……かわいげのないやつだ……」
「んっ……ぁッ……はぁ……ッ……」
「昔の男を出してくれば……多少は情が動くと思ったが……」
「……ぅ……ッ……んんっ……ぁッ……」
「やはりそんなことでは動かなかったか……」
汪は杭を打ち込むように、深く文礼を穿っていく。
「だからこそ……お前は面白い……他の者たちとは違う……」
耳元で囁くように言って、汪は文礼の体の奥に熱い迸りを解き放った。
体の奥に生ぬるい嫌な感触を感じながら、文礼は汪が唐突に漣の話を持ち出してきたことの意味を考えていた。



「汪はいったい漣に何をしたんだ……?」
傍らで体にオイルを滴らせる雀喩に、文礼は問いかける。
「よくは解りませんが……それほど大きな動きはなかったと思います」
「汪は漣のボディガードが増えたと言っていた」
「警戒させる程度のことをしたということでしょう」
「退屈しのぎ程度か……これからもあまり大きな動きはない?」
「……と思いますが。先ほどの大人の反応なら」
「それなら、特に動く必要もないか……」
「こちらが動けば、大人はかえって執着するのでは?」
「そうだろう……何しろ、親戚一同から煙たがられるほど、コイルがさらに捻じ曲がったような性格をしているからな……」
自分の性格も相当捻じ曲がっていることを棚に上げて文礼は言った。
そして、ちょっと伺うように雀喩に目を向ける。
「汪に気取られないように、調べることはできない?」
「あまり詳しくは無理ですが、ある程度なら」
「ある程度でいい」
「はい」
例の清算事件では雀喩も共犯だっただけに、素直に頷いた。
そもそもこの男が共犯者になること自体、文礼にとってはおかしな話だった。
ただ、清算せずにはいられなかった文礼の気持ちには理解があったようで、おそらくその部分をケアするためにリスクを承知で加担したのだろう。
何しろ、文礼の存在は蔡家にとっては命綱のようなものだった。
しかし、あの一件は、文礼にとってもかなりリスキーな行動だった。
今もまだそのリスクは続いているし、これからもおそらくは続き続けるだろう。
だが、それと引き換えに、文礼は復讐を成功させることが出来たのだ。
今頃漣は、苦しんでいるだろうか……。
文礼のことを思い出しているだろうか……。
そんなことを考えているうちに、微笑がこみ上げてくる。
やはり日本にいるせいだろう。
生々しいほどに、漣の苦悩が伝わってくるような気がした。



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EDIT [2011/07/19 06:53] Breath <2> Comment:2
このコメントは管理人のみ閲覧できます
[2011/07/19 19:58] EDIT
>シークレットAさん

いつもコメントありがとうございます!

すみません、悠樹の登場シーンまでは書けませんでした(汗)
でも、今回更新分には登場していますので、楽しんでいってください♪

今後の彼のことは心配ではありますが、周りに漣の仲間もたくさん集まってきましたので、みんなで守ってあげて欲しいですよね。

毎日のコメントは本当にありがたいです♪
とっても励みになってますし、頑張ろうって思えます!
いつも丁寧にコメントいただいて、本当にありがとうございます^^

また次回も読んでやっていただけると嬉しいです!
[2011/07/20 07:38] EDIT
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