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ご馳走の並んでいた部屋の奥に、さらにもうひとつ部屋があった。
その部屋には大きな寝台があって、アマツは陸の手を引いてその寝台に座らせる。
覚悟は決めたものの、陸はとても緊張していた。
いったい何をどうしてどうなるのか……さっぱり想像もつかなかったからだ。
思春期の好奇心でエッチな本やビデオを見たことはあるが、あれはあくまでも男女の営みであって、男同士がどうやって営みをするのかなんて想像もつかない。
「緊張してるのか?」
あまりにも強ばった陸の様子を見て、アマツが声をかけてくる。
「い、言っておくけど……初めてなんだからな。緊張して当然だろ……」
「分かってる」
真面目にそう答えて、アマツはうつむいた陸の髪をかきあげる。
「もっと顔を見せて欲しい」
「う……す、すげー恥ずかしいんだけど……」
「ほかに誰もいない。顔を上げて」
アマツに促され、陸は羞恥をこらえながら顔を上げる。驚くほど真摯な目に見つめられ、陸は耐え切れなくなってまた目を逸してしまった。
なぜだか心臓がドキドキしている。
(どうせ……一晩だけだし。お互いに仕方なくするだけなんだから……)
陸は自分に言い聞かせるように思う。きっとアマツだってそう思っているはずだ。
再びうつむいた陸の顔に、アマツのほうが近づいてきた。顎の下に手を入れられ、陸は観念したように顔を上向かせる。すぐにアマツの唇が重なってきた。
「ん……っ……ん……ぅ……」
男とキスをしているというのに、不思議なほど嫌悪感は感じなかった。
アマツはまるで陸の緊張を解きほぐそうとするかのように、優しく何度も唇を重ねてくる。
「口……少し開いて」
唇を離したアマツが囁くように陸に告げる。陸は戸惑いながらも言われた通りに口を開いた。
「んっ……ふ……」
すぐにアマツの舌が陸の口腔に入り込んできた。
アマツの舌によって口腔の粘膜を刺激され、掻き回され、陸は自分の吐息が弾んでくるのを感じた。強い刺激ではないものの、まるで性感帯を優しくなぞられるような感覚があった。
「んぅッ……ん……ふ……ぁんっ……」
いつの間にかアマツの手は陸の体を抱き寄せ、片方の手は愛おしそうに髪を撫で続けている。初めてだと訴える陸を、まるで宝物のように扱ってくれていることが分かる。
たった一晩限りのことだとはいえ、アマツも気を使ってくれているのかもしれない。
「んぁ……ん、は……ん……ぅ……」
アマツの手は陸の体をまさぐり始めていた。苦労して着た服の帯を解き、布はどんどん剥ぎ取られていく。
「あ、ん……ん、は……ん……」
布越しに触れられているとはいえ、他人に体を愛撫されると、何だか体が浮上がえるような感じだった。快楽というには少し遠いけれども、それに近い感覚だ。
「ん、は……ぁっ、んあッ……はぁッ……」
アマツの手が陸の肌に直接触れると、先ほどよりも鋭い感覚が陸の体を震わせた。まるでアマツの愛撫に反応するみたいに、陸の吐息がせわしなく弾んでくる。
「ん、ふあっ……ん……は……あっ、ん……」
アマツは陸の体を愛撫しながら、何度も唇を重ねてくる。
着ているものが下穿き一枚になったとき、何度も交わされた口づけによって、陸の体の力は抜けきってしまっていた。
下穿きの上からすでに形を変えているものをなぞられると、陸は堪えきれずに小さな悲鳴を上げた。
「……ぁんっ……」
その声に陸は自分で驚き、あまりにも恥ずかしくてアマツの逞しい体にしがみついた。
アマツも陸の羞恥を煽るようなことはせず、包み込むように陸を抱きしめながら、下穿きを脱がせていく。
「……ぁ……」
気がついた時には、陸はもう何も身につけていなかった。陸の首を抱き寄せ、軽くキスをすると、アマツも自分の着物を脱いでいく。
鍛えられた筋肉をまとったその逞しい体は、陸には眩しすぎるほどだった。
すべてはアマツに任せると伝えてあったけれども、本当に陸は何もすることがなかった。何かをしようにもまったく余裕がない。体も頭もふわふわしてしまって、まともにものを考えることも出来なかった。
アマツが再び陸の体を抱き寄せる。直接、肌と肌が触れ合う感覚に、陸は奇妙な高揚を感じていた。
衣服を着ていた時よりもアマツの体温がリアルに伝わってきて、陸の心臓は壊れてしまうのではないかと思うほどに早鐘を打った。
「そんなに緊張しなくてもいい」
上の方から笑い含みに言われ、陸は顔が熱くなるのを感じる。全部悟られているのだと思うと、いたたまれない気持ちになってしまう。
「そ、そんなこと言われても……緊張したくなくても緊張するんだよっ」
陸は精一杯の抗議をしたつもりだったが、声は震えてしまっていた。
(俺……カッコ悪い……)
陸は自己嫌悪に陥りそうだった。アマツと寝ることを決めた時は覚悟もしたし、思い切りもしたはずなのに。
まだ気持ちはこんなに動揺してしまっている。
「陸」
名前を呼ばれ思わず上げた顔に、アマツの顔が近づいてきた。抱きしめられ、強く唇を押し付けられる。
「ん……ふ……んぅ……んっ……ん……」
先ほどよりもさらに激しく唇を求められ、陸は必死にアマツの口づけを受け止めていく。
最初のうちは陸の様子を伺いながらだったキスも、今は陸を支配しようとするかのようだった。
「ん、は……ん、ふ……あッ……!」
ひとしきり唇を貪ったアマツは、陸の両足を開かせたかと思うと、その中心に顔を近づけていく。
「ちょ……ッ……ま、待て……何する……ッ……ん!?」
抗議しようとしたその言葉はすぐに悲鳴のような声に変わった。
あまりにも強い刺激がその場所に与えられたからだ。
あろうことか、アマツは陸の一物を口に咥え、舌を絡ませてきたのだ。
◇
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