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「弘海、朝だぞ」
体を軽く揺すられ、弘海は目を覚ました。
「う……ん……」
体が少し気だるくて、弘海は寝返りを打った。
まだ夢と現実が少し混ざっているようだった。
「弘海……」
「何……時……?」
「三時五十分」
「起きなきゃ……」
眠い目を擦りながら、弘海はベッドから起き上がった。
「ありがと……起こしてくれて助かったよ」
結局、昨夜もお互いに何度も求め合ってしまい、眠ったのは日付が変わってからだった。
まだショーンが体の中にいるみたいだ。
重い体を引きずるようにして、弘海はバスルームに向かう。
熱いシャワーを全身に浴びて、ようやく目がさめた。
「はぁ……そういえば、店のことまだ何も解決してないんだよな……」
朝食の目玉焼きとハムステーキをフライパンで焼きながら、弘海はため息をつく。
弘海の頭の上に、ぽんとショーンの大きな手のひらが乗ってきた。
「あまり思いつめるな」
「うん……解ってるんだけどさ……」
「弘海が思いつめると、橘さんが変なふうに心配するぞ」
「へ、変なふうって?」
「結婚生活が上手くいってないんじゃないかとか……」
「ああ……あり得る気がしてきた……」
ハムステーキをひっくり返しながら、弘海はまたため息をつく。
最近では少し元気がないと、夫婦喧嘩でもしたのかとか、そういう方面で心配されてしまうことが多いのだ。
「三芳さんが橘さんのことをどう思っているかが、俺は鍵のような気がするが」
「三芳さんが?」
意外なショーンの意見に首をかしげながら、弘海はちょうど良い具合に焼けた目玉焼きとハムステーキを皿に乗せた。
そしてそれをショーンに手渡してテーブルに運んでもらう。
タイミングを見計らったみたいに、トーストが焼けたようだった。
トーストをオーブンから取り出し、沸き立てのコーヒーをカップに入れてテーブルに運ぶ。
「ねえ、三芳さんが橘さんのことをどう思ってるかって? それってどういうこと?」
ショーンの前にコーヒーとトーストを置きながら、弘海は聞いてみた。
「橘さんに対して恋愛感情があるのかないのかということだな」
ショーンは答えて、目玉焼きとハムステーキをパンの上に乗せてかぶりついた。
「うーん……どうなんだろう……だってさ、三芳さんはショーンの国の人じゃないんだよ? この国はそんなに男同士が恋愛することが普通ってわけじゃないからさ……」
「でも、お前は橘さんに思われていたじゃないか」
「あ…………そうか…………」
昨日の朝、ショーンの力を借りて見た映像のことを再度思い出し、弘海はまた落ち込みそうになった。
「あ……いや、別にお前が悪いわけじゃないから……そう深く気にするな」
「うん……解ってる……解ってるけど……」
「まあ……お前が思っている以上に、この国でも男が男を愛するということは普通なんだと俺は思うが」
「そう……なのかなぁ……」
自分自身、抵抗がずっと強かっただけに、にわかには信じがたかった。
けれども、三芳は橘のことをずっと支えてきた人だ。
ひょっとしたらショーンが言うように、そういう気持ちがあることも、あるのかもしれない。
そう考えてみて……。
「うーん……やっぱりないと思うけど……」
目玉焼きを乗せたパンをかじりながら、弘海は首をかしげた。
「まあ、ちょっと探ってみるといい」
「そうだね……さりげなく探ってみるよ」



店が見えてくると、窓の隙間から明かりが漏れているのが解って、弘海はちょっとホッとした。
今朝も橘はいつものように出勤しているようだった。
いつもとは違うことが続いていたから、いつも通りのことを発見すると少しホッとする。
ただ、弘海はいつもより少し緊張していた。
(橘さんが俺のこと好きだったなんて……)
それを思い出して、弘海は慌ててかぶりを振った。
(駄目だ……それは忘れなきゃ……)
そのことが頭にあると、橘といつも通りに接することが出来そうにない。
裏口から店に入り、ロッカールームで着替えをしてから厨房に向かう。
「おはようございます」
出来るだけいつもと同じ調子で挨拶をしながら厨房に入っていった。
「ああ、おはよう」
橘もいつもと同じ爽やかな笑みで弘海を迎えてくれた。
「休みはゆっくり出来た?」
「あ、は、はい。おかげさまで。久しぶりに公園に行ったりしてゆっくり過ごしました」
「そうか、それは良かった」
「橘さんはゆっくり出来ました?」
「うん。宗助が家に来たりはしてたけど、わりとのんびり過ごしたよ」
橘がいつもと変わらない様子だったのと、最近は避けていた三芳の話が出てきたことで、弘海はホッとした気分だった。
弘海も出来るだけいつも通りに接しようと改めて思った。
「今日は……何かいつもと違うものはありますか?」
「いや、いつも通りでいいよ。天気もあまり良くないみたいだし」
「解りました。そっか、天気悪いのかぁ……」
「昼前には降りだすみたいだよ」
「梅雨はまだ先なのになぁ……」
「バケットが機嫌を損ねなければいいけどね」
「そうですよねえ……」
雨の日は配合を変えても、バケットの焼き上がりがいつもと微妙に違うことがある。
客に指摘されるほどではなくても、橘や弘海などが食べてみれば少し違うなと感じる程度には変わることがあった。
だから晴れている日よりも、雨の日のほうが橘は慎重になる。
「とりあえず、いつもと同じのが焼けるように頑張ってみるよ」
「はい。じゃ、俺もこっちやりますね」
二人でそれぞれ分担された作業に取り掛かる。
ここから開店までは怒涛の作業になる。



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