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「もう……いいでしょう……帰ります」
吐息を喘がせながら橘は言ったが、それを押し止めるように新城の唇が重なってきた。
「まだ健介も一度しかイッてないじゃないか。俺だって一回しかイッてないし」
「それでもう十分でしょう……とりあえずあなたの言うとおりにしましたから、もう帰らせてください……人と会う約束もあるんです」
「三芳かな?」
「どうだっていいでしょう……手を離してください」
手首をまるで縫い付けるみたいに押さえつけられ、橘はベッドから起き上がることができなかった。
「俺がたった一度で満足するような男じゃないことは、君も知ってるだろう?」
「俺はもう十分です」
「まだだ……まだ足りないはずだよ……ふふっ」
「もう、やめてください……」
新城の手を振り解こうとしたが、力任せにそれを押し止められ、バスローブの紐で束ねた両手を縛られた。
「いい加減にしてください……」
橘は本気で不快感を伝えたが、それは新城には届いていないようだった。
「じゃ、今夜のルールを決めよう。お互いに三回イッたら今夜は終わりにしよう。お互いに、だよ? 君だけでも俺だけでも駄目だ」
「そんな元気はありません……」
うんざりしたように答えると、新城は橘の頬や耳元を舌で舐めてくる。
「そんなことはないだろう? 健介だってまだ満足してないはずだ……」
体重をかけてのしかかられ、橘は諦めたようにため息をついた。
新城がこういう状態になってしまうと、何を言っても無駄だということをこれまでの経験から知っている。
橘の首筋や肩、胸や腹などに唾液をまとわりつかせながら新城は舌を這わせてくる。
その感触はとても気持ち良いとは思えず、不快でしかなかった。
橘は顔をしかめたが、新城はそんなことに気づく様子もなく、今度は萎えたままの橘の一物に唇で触れてくる。
「……っ……ん……」
その刺激には、思わず吐息を喘がせてしまう。そこを弄られると、やはり弱かった。
橘の反応が薄いことに痺れを切らしたのか、新城は橘の昂ぶりを口に咥えた。
「や、やめ……て……ください……っ……」
「硬くなって来たね……」
「そんなことされたら……なるに決まってます……」
くちゅくちゅといやらしい音を橘の両足の合間で立てながら、新城は橘の腰が浮いたり、体をよじったり、普段は絶対に聞くことのないような艶めいた喘ぎ声を出すのを楽しんでいた。
「……っ……んっ……ぁっ……はぁ……っ……」
「そろそろかな……約束の二度目……」
期待するように言って、新城は橘の昂ぶりを咥えなおした。
まるで追い詰めるように、せわしなく舌を這わせてくる。
「……っあ……んっ……あっ……あ……っ……」
橘の腰が小刻みに震えている。もう限界は間近にまで迫っているのだろう。
新城はいやらしい音を立てながら、橘の一物に愛おしそうに舌を絡ませていく。
「んっ、うっ……く……んんっ……!!!」
跳ね上がりそうになった両足を押さえつけられながら、新城の口腔内に橘は欲望を吐き出した。



「これで俺が一回、健介が二回……」
「……もういいです。もうこれ以上は止してください」
「まだ終わる条件に達してないよ……俺があと二回、健介があと一回……」
「そんなルールは勝手にあなたが決めたんでしょう……」
「でも、今夜はこのルールに従ってもらわないと困るな……」
強く言われると、橘は何も言えなくなる。
橘が新城に強く出れないのには、理由があった。
五年前の話だ。
橘が店を始めたばかりの頃、少し利益が出始め、店の設備をもう少し使い勝手の良いものにしようと考えた。
その過程で橘は、詐欺業者に騙されてしまったのだ。
店の運転資金にさえ事欠き、仕入れをすることも出来ず、途方に暮れかけていたその時に、個人的な資金で橘に助けの手を差し伸べてくれたのが新城だった。
彼は地方銀行であるひまわり銀行の頭取の次男で、当時は融資を担当していた。
『ル・レーヴ』に最初の融資を決めてくれたのも新城だった。
その融資を受けたばかりの後のことだったので、まだそれほど実績もなく、今後の見通しも立たないような店への追加融資は認められなかった。
それで新城が自分の個人資金を出資して、助けてくれたのだ。
「橘さんの将来に期待しているよ」
そう言った新城の言葉をそのまま信じた。
そうしていろんなことが落ち着き、誘われた食事の後、新城は橘に体を求めてきた。
断ることは出来なかった。
二年後には新城からのすべての借財を利息もつけて返済し終えたが、それでもまだ強要される関係は続いていた。
ある日、橘は勇気を出して関係の清算を申し出たが、一年に一度だけならということを了承させられた。
その事情を、店を手伝い始めた三芳に気づかれた。
ほとんど洗いざらい事情を喋らされ、三芳はこの時に詳しい事情を知ることになった。
それ以来、完全に関係を清算するようにと三芳は訴えてくる。
一度思い切って関係の清算を新城に訴えてみたが、食事ぐらいは付き合って欲しいと切り返された。
食事だけ……そう思って出て行くと、帰りにはホテルの部屋に連れて行かれる。
出て行く時はいつも断ろうと思うのに、気がつけば新城のペースに乗せられていた。
三芳はひまわり銀行との取引も含めて関係を断ち切らなければ、橘はいつまでも流されると考えた。
いろいろと手を回してメインバンクを別の都市銀行に変更し、ひまわり銀行との関係は以前よりも密接ではなくなった。
橘も三芳が言うように、強引に関係を終わらせることを考えたこともあった。
けれども、彼の中では、新城はやはり恩人だった。
五年前に店を畳む覚悟をしたとき、助けてくれたのは紛れもなく新城で、そうした不義理な終わり方をしたくないというのが橘の考えだった。
新城の良心を信じたいと思った。
終わらせるなら、新城も納得の上で終わらせなければと考えている。
その考えを三芳に告げると、お人よしだの優柔不断だのといってさんざん罵られ、三芳は独断でひまわり銀行との取引を終わらせようとしたのだった。



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