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「ん~……」
頭がぼんやりとして、顔が熱い。寝返りをうとうとして、弘海は額に冷たい感触を感じた。
「気持ちいい……」
目を開けてみると、ショーンが手を額に当てていた。
「大丈夫か?」
「う、うん……あれ? 俺……どうなったんだっけ? 確か風呂に入ってて……」
「のぼせたみたいだな」
「ああ……そうか……」
ようやく記憶が蘇ってきた。
バスルームで何度もショーンと愛し合って、そのあげくに弘海はのぼせて気を失ってしまったのだ。
結局、お互いに何回イッたのかも解らないぐらいに長く繋がりあっていたので、のぼせてしまうのも当然といえば当然だった。
「頭ふらふらする……」
弘海はそう言って、離れてしまったショーンの手を額の上に引き戻した。
「ショーンの手って……冷たくて気持ちいい……」
「たぶん、お前の額が熱くなってるだけだと思うが」
「そうかなぁ……」
「水でも飲むか?」
「うん……」
のぼせてしまった原因の大半はショーンにあるから、弘海は遠慮なく甘えることにした。
グラスに入った水も飲ませてもらい、またショーンの手を自分の額に当てた。
「気分は悪くないか?」
「うん……それは大丈夫……たぶん、横になってたら治ると思う……」
額に乗せたショーンの手の感触が心地よい。冷たいだけでなく、何となく肌が触れ合っていることが嬉しかった。
「明日はまた朝が早いんだろう?」
「うん……早出だし……」
「じゃあ、今夜はずっとついているからもう寝ろ」
「うん……おやすみ……」
弘海はショーンの手首を握り締めたまま目を閉じた。
一人で眠る夜とは違い、誰かが傍にいてくれるというのは、何だかとても幸せな気分だった。



翌朝、弘海が目を覚ますと、ショーンがベッドに頭を乗せて眠っていた。
どうやら本当にずっと弘海の傍についていてくれたらしい。
何だか少し嬉しい気持ちになって、弘海はショーンを起こさないようにベッドから起き上がった。
そろそろとベッドから弘海が抜けて出しても、ショーンはまだ眠ったままだったので、その体に毛布をかけておく。
今は魔力もフルチャージ状態だから、風邪をひいたりすることはまずないだろうけれども。
時計を見てみると、ほぼいつもの起床時間だった。
弘海はキッチンに立って朝食の支度を始める。
一昨日は朝食を作る時間も食べる時間もなかったが、今日はゆっくりと作って食べる時間がありそうだ。
「今日はパンケーキにしようかな」
卵と砂糖を混ぜ合わせ、そこに牛乳を加える。小麦粉とベーキングパウダーも加え、よくかき混ぜたら温めておいたフライパンで生地を焼いていく。
甘い良い香りが漂ってきた。
表と裏を適度に焼いたら、次の生地を入れてまた焼いていく。
パンケーキを焼いている間に昨日作っておいたスープを温め、冷蔵庫からフルーツを取り出して切っておく。
パンケーキがすべて焼け、皿に盛り付けたところで、タイミングよくショーンが目を覚ました。
「おはよう。朝ごはん食べる?」
「ああ……美味そうだな」
少し眠そうなショーンの寝起きの顔が、弘海には微笑ましかった。
「今日はパンケーキにしてみたよ」
「そういえば、この間食べたパンケーキも美味かったな」
「だいぶ前だよね、作ったの」
「そうだな」
「いつも寝坊しそうになったり、時間に余裕がないからさ……今日は早起き出来たから……」
いつもはショーンが何度も求めてきて、寝るのも明け方が近いような時間になることが多い。
そういう時は朝食を作る暇もないし、もし多少の時間があったとしても、手の込んだものを作るのは難しかった。
パンケーキを作れない原因の大半は、実はショーンにあるのだ。
「はい。これ運んで」
出来上がったものをショーンに手渡し、テーブルに運んでもらう。
その間にコーヒーを入れた。
「ハチミツとバターがあるから、好きなものを乗せて食べてね」
弘海はハチミツもバターもたっぷりと乗せて食べる派だが、ショーンはバターだけで食べるのが好みらしかった。
前回聞いたところによると、パンケーキ自体が甘いからバターだけのほうが美味しいのだという。
パンケーキの朝食を食べながら、弘海は店のことを思い出してため息をつく。
橘と三芳のぎくしゃくした空気は、今日は元に戻っているだろうか……。
「どうした?」
「ああ、うん……実はさ……」
弘海はショーンに簡単に事情を話した。リュウスとは違ってショーンはある意味、部外者だから話しやすかった。
「何か相当に奥が深そうで心配なんだよなぁ……仲のいい二人しか知らないから、何とかできないのかなって思うんだけど……」
橘と直接話をしてみたものの、結局思うような成果が得られたような気がしない。
二人の間にしか解らない事情というものが解れば、多少は何か方法も思いつくのだろうが。
「ね……ショーン」
「何だ?」
「魔法でさ、本当の事情って探れないかな? 橘さんが言葉を濁して教えてくれなかったこと、調べられないかな?」
「何で俺がそんなことを……」
ショーンはあからさまに嫌な顔をした。
「だって、どうせ魔力は満タンなんだろ? ちょっと調べてみてよ」
「…………」
ショーンは明らかに乗り気でない様子だった。
「ほら、前にリュウスが言ってたじゃん。離れた場所にいてた俺たちの話に聞き耳を立ててたって。あんなこと出来ないの? できるんじゃない? できるよね!?」
身を乗り出すようにして弘海が言うと、ショーンはため息をついた。
「出来るが……あまり魔法を頻繁に使うと、余計なものを呼んでしまう可能性があるからな……」
「でも、魔力があるから大丈夫だろ? 猫になって気配を消すことだって出来るんだし。もう頼めるのってショーンしかいないんだよ……二人のこと、何とかしたいしさ……」
縋るような目で弘海に見つめられ、ショーンは渋々頷いた。
「まあ……やってみる」
「ありがとう!」
弘海は嬉しくなって、ショーンの体に飛びつくように抱きついた。



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