2ntブログ
2024/04:- 1 2 3 4 5 67 8 9 10 11 12 1314 15 16 17 18 19 2021 22 23 24 25 26 2728 29 30 - - - -

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

EDIT [--/--/-- --:--] スポンサー広告 コメント(-)

弘海がショーンの国で過ごしたのは、二泊三日だったが、日本に戻ってみると、一日も経っていなかった。
出発したその日の夜、まだ日付が変わる前の時間だ。
「すごい……あんなに長い時間いたのに、一日も経ってないんだ……」
弘海が言うと、ショーンは笑う。
「明日は仕事だろう?」
「うん。今からゆっくり寝て、明日はいつも通りに仕事に行けるね」
「俺はいったん国に帰るが、また明日来る」
ショーンの言葉に、弘海は少し寂しくなる。
けれども、国が違うとはいっても、魔力が自由に補給できるようになったショーンがここへやって来ることはそれほど難しいことではなくなった。
「移動時間だけだと、一時間半ぐらいだもんね」
「そうだな」
往復三時間の道のりなら、確かに毎日でも行き来が出来そうだ。
弘海が出発する時には、ショーンのお父さんをはじめ、大勢の人たちが盛大に見送りをしてくれたけれども。
実際には往復三時間程度の道のりだと思うと、それほど遠い国の話ではないのだなと弘海は改めて思った。
「おやすみ」
ショーンは言って弘海にキスをした。
軽く唇を重ねると、その長い腕で弘海の体を抱きしめた。
「また明日だね」
「ああ、明日来る」
魔力をたっぷりと蓄えたショーンは、国でその魔力を使って与えられた仕事をするのだという。
王族の人間はそうやって国のために働くから、あれほど国民に親しまれているのだとリュウスが説明してくれた。
そして、その魔力を支える役割を持つ弘海も、あれほど盛大な歓迎を受けることになったのだ。
「仕事、頑張ってね」
「ああ、弘海も」
もう一度キスをすると、ショーンはきちんと玄関から部屋を出て行った。
生真面目なその様子が、何だか微笑ましい。
「俺も明日に備えて寝よう」
とても幸せでぽかぽかした気持ちだった。
ショーンの唇や体の温もりを思い出しながら、弘海は自分に再び家族が出来たことを実感した。



翌日、弘海はいちおう、橘や三芳にショーンと無事に結婚したことを報告した。
二人は何だか複雑そうな顔をしていたが、すぐに祝福してくれた。
ショーンの国が男同士の結婚を認める国だということを二人は知っていたから、何とか納得してもらえたのだろう。
一番喜んでくれたのは祐一だったかもしれない。
あの気まずくなった日からずっと、祐一は弘海のことを気にしてくれていたのだという。
「悔しいけど、おめでとう」と祐一は言ってくれた。
心配してくれていた店の皆にとりあえず報告を終え、祝福の言葉をもらって、弘海は大仕事を終えた気分になった。
昼休憩を終え、午後からの仕事に向かおうとした弘海は、あり得ない人物がロッカールームに入ってくるのを見た。
「リュウス!?」
「こんにちは。昨日はお疲れ様でした」
「ど、どうしたの!?」
「弘海さんのボディガードをするために来ました。またここで働かせていただきます」
「え、でも……家はどこに!? まさかまた同居!?」
「いえ、今回は弘海さんの部屋の隣に。先ほど引越しを終えました」
「そう……なんだ。確かに隣は空き室だったけど。でも、日本は平和だし、ボディガードなんて必要ないよ?」
「いえ、弘海さんも王族の一員となられたのですから、お世継ぎが出来るまでは油断が出来ません」
「そ、そう……」
お世継ぎという言葉に、弘海はちょっと恥ずかしくなってしまう。
まだ自分とショーンの間にいずれ子供が出来るのだということは、実感としてなかった。
「そういうわけで、またよろしくお願いします」
リュウスは言って、ぺこりと頭を下げた。
「こ、こちらこそ……お世話をかけます」
弘海も慌てて頭を下げる。
「じゃあ、俺もう休憩終わりだから先に行ってるね」
「はい」
弘海がロッカールームを出ようとしたとき、
「ああ、弘海さん」
思い出したように声をかけられ、弘海は振り返った。
「離婚したくなったら、遠慮なく言って下さい」
「は……?」
「過去の文献を見ますと、我が国の王室の離婚はそれほど珍しいものではありません。最大で137回離婚した例があります」
「ええええ?」
「ですので、弘海さんも何かご不満がありましたら、どうぞご遠慮なく」
リュウスはそう言ってにっこりと微笑んだ。
「まさかと思うけど……離婚待ちするために、ボディガードを買って出たの?」
「まさか。そんな不吉なことを期待しているわけではありません」
そうは言ったものの、明らかにリュウスは離婚を期待している様子だった。
「あのさ、昨日結婚したばかりだし、離婚はないと思うよ」
「先のことは解りません」
「大丈夫。そんな心配はないから!」
弘海は強調したが、リュウスはニコニコと微笑むばかりだった。
結婚してひと段落したと思ったのも束の間……いろいろと波乱の日々が始まりそうな予感を弘海は感じた。




弘海とショーンの二人の関係がいちおう決着がついたところで、第一章を終了させていただきます。

第二章では新婚生活編として、弘海とショーンの新婚生活の様子(!?)、弘海やショーンにフラれた人たちが、どうなっていくのかを描いていきたいと思います。
引き続き読みに来て頂けますと大変嬉しいです(*゜∇^v)⌒☆

日生桔梗



にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村

ブルーガーデン
  


関連記事

EDIT [2012/02/21 07:31] 猫目石のコンパス Comment:0
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

日生桔梗

Author:日生桔梗
オリジナルの18禁BL小説を書いています。

下記のランキングに参加しています。
よろしければ投票をお願いします!
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村



駄文同盟

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新トラックバック