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時計の針はもう深夜の2時を過ぎていた。未だに悠樹からの連絡はなく、電話も繋がらない状態が続いていた。
おそらく、じきに文礼のほうから何らかの接触をしてくるだろうと思った。文礼の本当の狙いは悠樹ではなく、漣であるとほぼ確信していた。
漣は藍澤興産の関連会社不祥事のニュースが流れたあの日のことを思い出した。
悠樹の父は二代目ではあるが、堅実な経営で周囲からの評判も良かった人物だ。そんな叔父が、経営基盤を揺るがすような不祥事を放置しているはずがない。漣は直感的にそう感じた。
しかし、決定的な証拠でもない限り、自分が出て行くのはやぶ蛇になる可能性があったので、こちらからの連絡はしなかった。
そのうちに、なぜか藍澤興産のメインバンクまでが融資を渋っているという話が伝わってきた。
どこかから圧力がかかっているとしか思えなかった。
それでもはっきりとした確証がない以上、漣は表立って動くことが出来なかったのだ。
文礼とは違う筋からの仕掛けかもしれないとも考えた。藍澤興産のように事業が多岐に渡っていると、いくら堅実に経営していようが敵は少なくないものだ。
メインバンクや他の取引先が融資に動かないのなら、自分が動くしかないだろうと考えてはいた。
そんな時に、悠樹からメールが来たのだ。
携帯の番号が書いてあったので、少し迷ったが思わずかけてしまった。
声が聞きたくて仕方がなかった。
5年ぶりに話す悠樹の声は、幼い頃のものとはもう違っていたが、その喋り方や雰囲気は昔のままだった。
会うことになったとき、我慢が出来るだろうかという不安があった。
しかし、悠樹が会うことを承諾してくれたのは素直に嬉しかった。
悠樹と会ってみて、不安は的中した。彼をマンションの部屋にあげてしまったのはいいが、10年分の思いをこらえることが出来なかった。
我ながら最悪の方法で、悠樹を手に入れた。
罪悪感はあったものの、もしもそうやって手に入れなければ、どうやって自分の10年分の気持ちを処理すればいいのかわからなかった。
悠樹の気持ちはあくまでも藍澤興産への融資と引き換えに漣の恋人になるというところにあった。
恋愛感情などといったものが皆無だというのは最初から承知の上だった。
それでも漣は、悠樹が欲しかったのだ。
東京で文礼に一年ぶりに再会したとき、漣は確信した。
これは最初から文礼が仕組んだことなのだと。
いったい彼が何を考えているのかは解らない。
藍澤興産を窮地に落としいれ、漣が援助をする。その筋書きの後に漣が悠樹を手に入れることまで計算ずくだったのかは解らない。
しかし、巨額の融資と引き換えならば、まったくその気がない相手を手に入れる奇跡を起こせることは確かだ。
どこまで自分が文礼に踊らされていたのか、それは本人に聞かなければ解らないだろう。
そう考えてため息を吐いたとき、漣の携帯が鳴った。着信画面の表示は悠樹の携帯だった。
「……今どこにいるんだ?」
押し殺した声でそう尋ねると、返って来たのは悠樹の声ではなかった。
「今ね、どこにいるかは言えない」
予想通り、文礼の声だたった。楽しそうにさえ響くその声に、漣は苛立ちを隠せなかった。
「ふざけるな!」
「まあ、落ち着いてよ。悠樹は今、眠っている。気を失っていると言ったほうがいいかな……当分は目を覚まさないと思う」
「貴様……」
怒りを含んだ漣の言葉に動じる様子も見せずに、文礼は楽しげに笑いながら言う。
「何があったか知りたい?」
「いいから悠樹を返せ。どうせあいつは関係ないんだろ?」
「そうだね。いいよ。もう用は済んだから返してあげる」
用は済んだ?その文礼の言葉に、漣は思わず顔をしかめる。
「……どういう意味だ?」
「じゃあ今から言う場所に来て。一時間後」
悠樹はどうなったのか。いったい何をしたのか。それを今言うつもりはないらしい。おそらく、会ったときにすべて話すつもりなのだろう。
「……わかった」
文礼は短くその場所を告げると電話をきった。とりあえず悠樹が生きていることが解って、漣は肺の空気をすべて吐き出すほどの息を吐いた。
文礼が悠樹を返すというのだから、間違いなく悠樹は戻ってくるだろう。その後のことはとりあえず、無事に悠樹を取り戻してから考えるしかない。
文礼が指定した待ち合わせ場所まで、ここからだと車で40分はかかる。漣は上着を手に立ち上がると部屋を出た。



ダイニングで倒れた悠樹は、家人たちの手によって寝室に運ばれた。
時折、ぼんやりと目を開けるが、自分の状況を認識できているのかどうかは解らない。
家人である男が差し出した注射器を、文礼は受け取る。そこには透明な液体が入っていた。
空気を抜くように軽くひと押しすると、透明な液体がピュッと飛び出た。
投げ出された悠樹の細い手をとり、その血管を調べて針を入れようとしたとき、悠樹の手が抵抗するように動いた。
意識があるのかと驚いたが、顔を覗き込んでみると、やはりはっきりと意識があるわけではなかったようだ。
「危ないから腕を押さえて。絶対に動かさないように」
そう命じると、男が二人がかりで悠樹の腕を押さえた。
次は難なく精脈を見つけ、薬剤を注入していく。
薬剤が空になった注射器を家人に渡し、しばらくの間、文礼は悠樹を見守った。
異変が起こり始めたのは数分後。
悠樹は額にうっすらと汗を浮かべ、苦しげに吐息を喘がせる。
「ん……うッ……ん……ッ……」
「効いてきたみたいだね。心配はいらないよ。危険な薬じゃないから……」
そう言って微笑みながら、文礼は上着を脱ぎ捨てる。そして悠樹のシャツも脱がせていく。
「いいよ、撮って」
文礼が言うと、傍に控えた男のうちの一人がハンディカメラを回し始める。
「ん……ッ……ぁ……ッ……」
「なんてそそる顔をするんだろうね。これじゃ、漣がひとたまりもないのも解る気がするよ」
悠樹の体を仰向かせると、今度はGパンを脱がせていく。下着の中の一物は、驚くほどにその存在を主張していた。
「いい感じだね。いい具合に薬が効いている」
文礼もスラックスを脱ぎ、下着までも脱ぎ捨て、そそり立つ一物を外気にさらした。
そして悠樹の隣に横たわると、まるで女のように細く美しい指で、下着の上から膨らみきった一物を撫でていく。
「……んぁッ……ぁっ……」
「ふふ……気持ちいいんだね。今夜は僕が持てる限りの手を使って、君を見たこともない天国へ連れて行ってあげるよ」
文礼の唇が、悠樹のものに重なる。
唇を何度も重ねながら、文礼は巧みに悠樹の一物を愛撫する。
すでに下着はぐっしょりと濡れていて、どこかで一度達したようだと解る。
「これは……漣が執着するのも無理はないね……あぁ……とても綺麗だ……」
文礼の手は下着の中にまで入り込み、直接悠樹のモノに触れていく。



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EDIT [2011/07/03 20:18] Breath <1> Comment:0
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