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「ショーンさま~、お探し申し上げました~」
扉を開いたショーンは一瞬硬直し、すぐに扉を閉めた。
「ショーンさま!? 開けてください! お迎えにあがりました~~!!! どうして閉めるんですか~~!!」
扉を閉めた上に鍵までかけたショーンは、そのまま回れ右をする。
「ね……知り合い……なんじゃないの?」
不安になって弘海が聞いてみるが、ショーンは首を横に振った。
その間にも外の人物は扉を叩き続けている。
「あのさ……近所迷惑……なんだけど……」
「見知らぬ人間だ」
「でも……ショーンの名前を呼んでるよ……」
「気のせいだ……」
「外寒いんだし……入れてあげたら?」
「そのうち諦めて帰る」
「かわいそうだよ、入れてあげようよ。せっかくショーンを探してきたみたいだし」
「必要ない」
ショーンはそう言うが、このままドアを叩き、あんな大声を張り上げ続けられたら、いい加減に近所の人から叱られてしまいそうだと弘海は心配になった。
「あんなにドアをドンドン叩かれ続けたら、俺がマンションから追い出されるよ……とりあえず中で話をしたら?」
弘海はそう言い、玄関に向かおうとしたが、ショーンがその腕を引いた。
「ショーンさまぁ~!」
扉の外から聞こえる声はかなり若い。
きっと、弘海とそれほど年が変わらないか、年下かもしれない。
「あんなに一生懸命にショーンの名前よ呼んでるのに、かわいそうだろ。ショーンがそんなに酷いやつだなんて思わなかったよ」
弘海は強引にショーンの手を振り解き、玄関に向かう。
「開けるからね」
もうショーンは何も言わなかったので、弘海は扉を開けた。
「あ……」
相手は驚いたように弘海を見た。
やはりどう見ても弘海よりも年下だ。
どうやら男らしいが、まだ少年のような雰囲気を残している。
栗色の髪に、透き通るように白い肌。
瞳の色は空の色みたいなブルーだった。
(か、かわいい……)
弘海でさえ思わずそう思ってしまうほど、その容姿は愛らしかった。
女の子のような整った顔で、喋らなければ女の子で通ってしまいそうなほどだ。
服装は少し変わった格好をしている。
中東かどこかを思わせるような、異国の衣服のようだった。
その少年は部屋の奥にショーンの姿を見つけると、靴を履いたまま部屋の中に駆け込んだ。
「ショーンさま!」
少年はその軽い身のこなしで部屋の障害物を飛び越え、真っ直ぐにショーンの体に抱きついた。



「あの……口に合うかどうか解らないけど、お茶をどうぞ」
とりあえず人数分の紅茶を入れて、弘海はテーブルに並べた。
「ありがとうございます。ショーンさまがすっかりお世話になったようで、本当にありがとうございます」
少年は礼儀正しく弘海にお辞儀をした。
「い、いえいえ……」
弘海も慌ててお辞儀を返した。
「良かったね、ショーン。これで無事に国に帰れるんじゃない? 道が解らなくて帰れなかったんだもんね」
「はい。その点は、ちゃんとここへ来る途中に目印をつけてきましたので、大丈夫です」
「すごい、ショーンもちゃんと目印をつけてくれば良かったんだよ。そうしたら、もっと早く帰れたのに」
「ですよねぇ……ショーンさまは昔から計画的にものをこなすのが苦手でしたので……まあ、こうなる可能性は十分に考えていたのですが……」
「へええ……そうなんだ……」
確かに言われて見れば、ショーンの行動はいつも気まぐれだったり、感情の赴くままのようで、計画的に行動している様子はあまり感じられなかった。
「あ、申し遅れました。僕はショーンさまの許婚でリュウスといいます。以後、お見知りおきを……」
「許婚?」
驚いてショーンの顔を見ると、いかにも不機嫌そうにため息をつく。
「許婚じゃない」
「え、で、でも……許婚って言ってるよ?」
弘海は戸惑いながら、ショーンとリュウスの顔を見比べる。
リュウスはにっこりと微笑みながらも、しっかりとした意思を滲ませて言う。
「いいえ、許婚です。正式に国王陛下からも認めていただきました」
「は?」
今度はショーンが怪訝そうに首をかしげた。
「ショーンさまがなかなか戻ってこられないので、事態を重く見た国王陛下が、僕に伴侶になるよう命じられたのです」
「勝手なことを……」
「ここに国王陛下の認可状もお持ちしました」
「…………」
ショーンは不機嫌そうにその書状を受け取る。
弘海はチラリとのぞいてみたが、何だか読めない文字のような記号のようなものが書かれてあった。
「リュウス……これを持って国へ帰れ」
ショーンはそう言って書状をリュウスにつき返した。
「えええ? 僕が国王陛下から叱られてしまいます~」
「俺はこいつを伴侶にする」
ショーンはそう言って弘海を強引に抱き寄せた。
「ちょ、ちょっと……ショーン……」
抗議するように弘海はショーンを睨みつけたが、ショーンはさらに強く腕の中に弘海の体を抱きこんだ。
「ショーンさま……」
リュウスは悲しそうな顔をした。
きっとリュウスは国王陛下が決めた決めないに関わらず、ショーンのことが好きなのだろうと弘海は思った。
「あ、あの……もうその方とは……その……夜伽もお済みなのですか?」
「いや、まだだ。こいつを伴侶にするが、まだこいつの気持ちが固まっていない。だから、俺はそれを待っているところだ」
「お、お言葉ですが……ショーンさま……もう我が国には時間がありません……」
「俺は伴侶を決めた。だから、後は時の魔法でどうにかなるだろう」
「でも、時の魔法を使っても、その方のお心が決まらなければ、どうなさるおつもりなのです?」
「それは大丈夫だ」
「だ、大丈夫じゃない!! さっきから聞いてたら勝手なことばかり言って! 俺がいつ伴侶になることをOKしたんだよ!?」
弘海はとうとう我慢が出来なくなって言った。
「ほら、この方もこんなに嫌がっているではありませんか」
「照れ隠しだ」
「んなわけないだろ!!! もういい加減にしろよ!!!」
弘海は怒鳴るように言って、ショーンの腕を振り解いた。
「とりあえず、はっきり言っておく。俺が男を好きになることなんて絶対にない!!!」
弘海は二人に向かってきっぱりと言い放った。
「ショーンさま……現実をもう少し考えていただかなくては困ります。魔力も相当に消耗しておられるようですし、魔力の補充はどうなさるのです? いちおうここへ来るまでに見かけた敵は僕が蹴散らしておきましたけど、新手が来る可能性だって十分にあります」
「そ、そうだよ! やっぱり国に帰ったほうがいいって」
「国に帰ったほうが良いです」
弘海とリュウスの二人に詰め寄られ、ショーンは苦い顔をした。



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