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外の異音が聞こえなくなって、弘海はほっと息を吐く。
ショーンの警戒も少し弱まったようだったが、まだ猫の姿のままだった。
じっと睨みつけるようにして、玄関の辺りを見つめている。
相手の気配がなくなるまでは人間に戻ることが出来ないのだろう。
夕食を作ろうとしていた手を止めて、弘海は黒猫の頭を撫でた。
黒猫はうっとりと目を細め、もっともっととねだるように弘海の手に頭を押し付けてくる。
「人間の姿に戻れたら、一緒にご飯を食べよう。俺もそれまで我慢するよ」
そう話しかけると、黒猫は嬉しそうに弘海の手をぺろぺろと舐めた。
くすぐったいが、仕草が愛らしいのでそのまま好きにさせておく。
猫の時はショーンが本当は人間だということを忘れてしまう。
そんな魔法みたいな愛らしさがあった。
「早く相手が諦めてくれたらいいのにね……」
弘海の声に応えるように、黒猫がニャァと鳴いた。



夕食作りを中断して猫を撫でているうちに、弘海はいつの間にかうたた寝をしていたようだった。
目を覚ますと、猫の姿は消えて人間のショーンが戻っていた。
「あ……ごめん……ご飯……作らないと……」
慌てて立ち上がろうとする弘海を、ショーンは押し止めた。
「……俺はしばらくここを出ようと思う」
「え……」
弘海は驚いてショーンを見た。
「どうもこの部屋が怪しいというのが気づかれているみたいだし。しばらく離れたところにいて、ほとぼりが冷めた頃に戻ってくる」
「でも、外を出歩いたら危ないんじゃないの? ずっと猫でいれるわけでもないし……」
今だって、まだ完全に安全とはいえない状態のはずなのに人間の姿に戻っている。
それだけ魔力に余裕がない証拠だろう。
「まあ……何とかなる。魔力をギリギリまで使い果たして戻ってくる。ともかくずっと俺がここにいるのは、弘海にも危険だ」
どうやらショーンは弘海の身の安全のことも考えてくれているようだが、両方の身の安全を確保できるもっとスムーズな方法があるのではないかと思う。
「あ、あのさ……国に帰るわけにはいかないの? それが一番安全なんじゃ……?」
「帰り方が解らない」
「何とかして……探してみる……とか……」
ともかくも、魔力が圧倒的に足りないことが今の困難な状況を生み出していることは事実だった。
ショーンは魔力さえあれば、ほとんどのことは何でも出来てしまうわけだし。
「何とか帰る方法を見つけて、いったん国に帰って……その……魔力をフルチャージしてから……もう一度……来る……とか……」
「もし帰る方法が見つかったとしても、それはしない。伴侶が見つかった以上、伴侶以外の人間とそういうことをするつもりはない」
「あ、あのぉ……伴侶ってまさか……俺のこと言ってるの?」
「それ以外に誰がいる?」
当然のことのように言われ、弘海はがっくりと肩を落とす。
「だから俺は……駄目だってば……何度言ったら解ってもらえるの? 本当に本当に、絶対に無理だから。もういい加減に諦めてもらえるとありがたいんだけど……」
「俺は気の長いほうだ」
「でも、今、命が危ないんだよ? 他の相手を見つけたり、いったん国に帰ったりするほうが絶対に現実的だし、ショーンのためだと思う」
「俺の伴侶はお前だけだ」
「ショーン……あんまり俺を困らせないでよ……」
弘海は泣きそうな声になる。
いくら言っても弘海の気持ちを解ってくれないショーンの態度に、本当に泣きたい気持ちだった。
「困らせるつもりはないが……事実なのだから仕方がない」
「でも……」
「とにかく、しばらく留守にする。合鍵と靴を使わせてもらうぞ」
ショーンは合鍵を衣服の中に入れ、玄関に向かう。
弘海が買った靴を初めて履き、そのまま玄関の扉を開けようとしたのだが。
「ま、待って……」
「時間がない。あいつらは、また戻ってくるはずだ」
「だったら、余計に危ないじゃん。少しなら協力するから……せめて少し魔力を戻してからのほうがいいんじゃないの?」
「多少戻ったところで大差はない。俺がいったん出たほうが効果がある」
あくまでも出て行こうとするショーンの腕を、弘海はつかんだ。
「じゃあ……もうちょっと回復する方法があるのなら手伝うから。今は絶対に危ないと思う。だって……さっきあの変な音が消えたところだし。まだこの辺りをうろうろしてるかも……」
しばらく黙り込んでいたショーンの腕を、弘海は離そうとしなかった。
ショーンは軽く息を吐く。
「本当に……いいのか? 協力を頼んでも」
「だ、だって……この状況じゃ、俺ぐらいしか協力できる相手もいないだろうし……」
「少し補給させてくれたら、助かる」
「うん……俺はどうしたらいいか解らないから、ショーンに任せるよ」
部屋に戻ってきたショーンは弘海を抱きしめる。
「いつも悪いな……もっとお前の気持ちが固まるのを待ちたいんだが……」
「あ、あのね、俺の気持ちは伴侶にならないってほうで固まってるから……」
「大丈夫だ。その気持ちが変わるのを俺は待つ……」
「だから、ショーン……んんっ……」
ショーンの唇が重なってきて、弘海は体を少し強張らせた。
キスはもう何度目かだが、それでも男同士のキスに慣れることはなかなか出来ない。
ただ、やはり気持ちよかった。
ショーンの唇が触れる感触……そして、開いた唇から舌が入り込んできて、弘海の舌を絡みとるその感触……。
「ん……っ……ふっ……ぅっ……」
うっとりとショーンの口付けを受け止めていると、その手が衣服を脱がせ始めた。
弘海は少し焦ったが、じっと我慢した。
自分から提案したことだし、今はこれが必要なのだと思うから。
やがて弘海は衣服も、そして下着もすべて脱がされた。
衣服を脱がせた弘海の体を、ショーンは感慨深げに見つめている。
「う……恥ずかしいから……そんなに見るな……」
「本当に弘海は綺麗な体をしているな……」
「男に体が綺麗とか言われても……嬉しくない……っ……」
弘海の言葉にショーンは微笑んで、弘海の両足を持ち上げたかと思うと、その合間に顔を埋めてきた。
「ちょ……ちょっと待って……そ、そんなとこに顔……っ!!!」
ショーンはあり得ない場所に顔を近づけたかと思うと、そのままそのあり得ない場所に舌を這わせてきたのだ。



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EDIT [2012/01/11 08:03] 猫目石のコンパス Comment:0
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